イチロヲ

女王蜂と大学の竜のイチロヲのレビュー・感想・評価

女王蜂と大学の竜(1960年製作の映画)
3.5
義理人情に厚い組長(嵐寛寿郎)により統率されている組織が、在日中国人と朝鮮人の決起をきっかけにして、熾烈な縄張り争いを繰り広げる。若手時代の石井輝男監督が手掛けている、任侠アクション映画。

米軍占領下の混乱期が舞台。日本人と在日外国人の衝突を口火にして広まった縄張り争いに、元特攻隊員(吉田輝雄)が介入する。主人公の堅牢な人間性にビックリしながら観賞するスタイルが楽しい。

ゴチャゴチャした猥雑な町並みの雰囲気作りや、男勝りの女賊が闊歩する様子など、石井輝男作品のテイストがすでに完成形となっている。まだ眉間の皺がない頃の天知茂が登場するところも必見。

世直しのための喧嘩が、傍から見ると喧嘩のための喧嘩にしか見えないという皮肉。また、本作のプロットは、1970年度「怪談昇り竜」にも流用されているため、後年のブラッシュアップ版として楽しむことができる。
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