さすらいのエマノン

ガメラ2 レギオン襲来のさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)
5.0
『大怪獣空中決戦』の興行的成功を受けて製作された、不朽不滅のランドマーク『平成ガメラ三部作』の2作目。1作目のレビューで書き忘れたことがあったのでここに記します。本作にも登場し、前作でギャオスを〆る為に短サムをぶっ放し、鮮やかに東京タワーをへし折った大野陸佐を演じられた渡辺裕之さん。素晴らしい役者さんでした。安らかにお眠り下さい。

潤沢なバジェットを与えられ、宇宙から飛来した生命体と、自衛隊、NTT北海道、そしてガメラとの死闘を描く。地球外生物『レギオン』はケイ素を糧にし、草体と云う状態を生み出す。期が熟すると草体は爆発し、その種子を遠くまでばら撒く。
小さなレギオン、『群体レギオン』は甲殻で覆われ、ガスの圧力で関節を動かす。因みにこの構造を突き止める解剖学者を演じているのが『バカの壁』シリーズでおなじみの養老孟司先生!! プロデューサー徳間康快の力業である。

このような細やかな考証が成された本作品は、世界的にも数少ない一流のSF映画なのである。よく『スター・ウォーズ』をSF映画だと表することが有るがアレはスペース・オペラと云うジャンルに分類されるものでSF的な要素は皆無である。

群体レギオンの秀逸なデザインは、またたく間にハリウッドにパクられました。そうです。ポールファンホルヘン監督の『スターシップ・トゥルーパーズ』のクレンダス星人(星人? バグだよな)ですね。

このようなしっかりとした考証によって裏打ちされた物語が面白くないわけが有りません。手に汗握る展開に放心状態になった記憶が有ります。

特に硬派な映画評論雑誌『キネマ旬報』で、とある批評家様が指摘された通り、陸上自衛隊駐屯地で、草薙浅黄(演じるのは藤谷文子さん、スティーブン・セガールの娘さんで前作のヒロイン。ガメラと意思疎通が出来る少女)達を乗せたヘリが、ガメラと巨大レギオンとの闘いに巻き込まれ、離陸に難渋するシーンで、縫いぐるみでしかなく、表情を動かすギミックも無く、CG加工も成されていないガメラがレギオンと対峙しながら、ヘリに目線を送り、(オレが止めているから早く行け)と言わんばかりの表情を浮かべるのです。
は?と思われるかも知れませんが、特撮映画とは、此のような「見立て」によって成り立っていると言っても過言では有りません。「見立て」とは元来、歌舞伎の言葉で有り、日本人特有の趣向なのです。

そして、伝説の名場面と言っても決して過言では無い栃木県足利市での最終決戦! 空中から地上にハードランディングをし、慣性力で激しく横滑りをしながらプラズマ光弾三連発をぶっ放すガメラ!! もう、凄過ぎて凄い!! おしっこチビるかと思った!

此のような名作をスクリーンで観れて、しかも、監督の金子修介さんや主題歌を歌ったトータス松本さんの舞台挨拶付きで観れた僥倖には感謝するしかありません。

名作故に定期的にスクリーンで観れます。未見の方は是非ともスクリーンでの鑑賞をおすすめします。長文失礼致しました。