マ

TAKESHIS’のマのレビュー・感想・評価

TAKESHIS’(2005年製作の映画)
4.4
あんまり良い言い方では無いけれど、苦しんでる人がその苦しみをそのまんま ウケるウケないは一旦置いといて ただただ捻り出す様子を観るのは面白い。なんだかんだこういう映画が好き。

8 1/2やバートン・フィンクと圧倒的に違うのは、最低限の体裁を整えることすら否定してることだと思う。だから8 1/2等のような「(funの意味での)面白さ」は少ない。演出も音楽もダサい。(当時のnagiの楽曲は今聴くと流石に古臭いところがある アンビエンスは好きだけどテクノパートはちょっとキツイ)でも映像としての魅力はしっかりある。撮影は綺麗だしビジュアルも独特だし、何より3-4x10月の様な突飛な編集がちゃんと映画を引っ張ってる。後半のビーチでの展開はEEAAOのラストバトル的なカタルシス。

映画業界に、自分自身に、世間が求める「ビートたけし」に心の底から絶望する北野武 それぞれの(実在の)人物が「お馴染み」的に振るう加害やたけしの自己が剥離していく姿は痛々しい。結局映画という構造から逃げる事が出来ず、タップダンスで大円団を演出しても「ソナチネ」に戻ってきてしまう もうこの作品から「キタノブルー」が示す意味は違う。確かに単純なエンタメとしては変すぎるし滑ってるけれど、この作品がどこか冷笑的にあしらわれてるのは悲しすぎる。

ラーメン屋でナポリタンを食べるシーンはめちゃリアルに「夢」っぽい。
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