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恐怖分子のooospemのレビュー・感想・評価

恐怖分子(1986年製作の映画)
2.5
初・エドワードヤン作品。
評価高いようだけど、さっぱり肌に合わなかった。

ストーリーとしては、パズルのピースがくっついたり離れたりするように、人物同士がつながったり離れたり、組み合わさったと思ったら実はちぐはぐだったと気づいたりと、複雑に展開していっておもしろい。誰一人、悪気を持って生きているわけじゃないのに結果的に裏切り、裏切られ、絶望していく人生。人間のもつ不条理が冷ややかな目線で描かれる。

それは面白かったけど何がイヤかって、一つは時間の流れ方が単調だったということ。BGM的要素の音楽はほとんど使われない。使われるといっても一瞬、バーでのシーンの店内の音楽のみ。音楽が溢れかえる《俗っぽさ》と断絶・隔離された世界観を作りたかったのかもしれないけど、だとしても効果的ではなかった。意図があるならせめて音楽のない世界を魅力的に撮ってほしい。はっきり言って退屈。

もう一つは構図がよくない。特に人物の配置。かなりの確率で画面ど真ん中、背景にクビ切りとクシ刺しのオンパレード。それぞれの人物像が魅力的に見えてこなくて、個性の表現が俳優の台詞のみに委ねられているという印象を受けた。といっても日常が舞台だから、現実的な台詞が多くて魅力的とは言えなかったけど。。。ストーリーが面白いぶんキャラクターの印象が薄いのはもったいないな、と思ってしまう。

《私俗っぽくなったわ》、と小説家の彼女が男に言う、あからさまに《俗っぽさ》への軽蔑の滲む台詞。それにしては他のシーンが洗練されてるとは見えなかった。理想どおりにいかない人生のこじれを、こじれた人間模様になぞらえてリンクさせているのかな、、。良くも悪くも悩ませられる。
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