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パーフェクト・センスのfukaのレビュー・感想・評価

パーフェクト・センス(2011年製作の映画)
3.9
2人がなぜ惹かれあったのかよくわからないし細かい穴も多いので完璧ないい映画だとは言えないけど、テーマや設定が独特で好きにならざるを得ない映画だった。

障がい者を取り上げた番組を見た時とかにもし視覚がなくなったら、もし聴覚がなくなったら、手足がなくなったら、とか考えることがあるけど、五感全てが失われていく様子が生々しく、さらにパンデミックの現実世界と重なっている部分もあって、このように映像で突きつけられるとより身近に感じられて怖いなと思った。

主人公やその周りに描かれている人々はある意味勝ち組で、最後のエンドロールで述べられているポジティブなことはほんの一部の人に関することでしかなく、愛し愛され環境の整っている人でないと生きていけなさそうなのは少し残酷だなと思った。どう考えても世界全体で見たら混沌と絶望と死の総量の方が大きいはず。

感覚が失われていき世界が混沌に陥る中で、奪えるものを奪い尽くそうとする者は世界が終わると考える人。一方で人生は続くと信じた人達は日常に戻り、人と関わり、人に与えることを続けていたのが印象的だった。

ずっと曇天の画面が良かった。
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