半兵衛

ブレードランナーの半兵衛のレビュー・感想・評価

ブレードランナー(1982年製作の映画)
4.1
子供の頃に見たときは強烈な未来のビジュアルと世紀末的な建物が混在するディストピアな世界観に魅せられたが、改めて見直すと探偵が犯罪事件に巻き込まれるも解決するというアメリカ映画ならではのハードボイルドスタイルに忠実に製作されていることに気づかされる。主人公のブレードランナーであるハリソン・フォードが酷い目にあいつつも解決したり事件に関係するヒロインに惚れてしまうという点もそう。

でもそこに短い生命でしか活動できないレプリカントの悲哀を通して、生命とは愛とはというテーマを打ち出したドラマは40年たった今でも見ごたえ十分でリドリー・スコット監督による光と闇の映像美も相まって新たなフィルム・ノワールに仕上がっている。尽きようとしている命を延ばさんと必死にもがいていた敵役ルトガー・ハウアーが、生きることの意味を自分なりに導きだしたような最期は胸に響くものがあった。

そしてリドリー・スコット監督やシド・ミードといった一流スタッフたちによる卓越したビジュアルの素晴らしさは言わずもがな、さすがに時代は感じるけれど。

ヴァンゲリスによるスコアもgood。

あと本作の近未来世界が新宿歌舞伎町(プラス香港)をモデルにしているのは日本人としては誇りにしていいのかな、でも歌舞伎町の賑わいは外国人にはこの映画のように伝わっているのか。
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