昼行灯

ブレードランナーの昼行灯のレビュー・感想・評価

ブレードランナー(1982年製作の映画)
3.7
そんなに物語に深みがあるとは思わなかったけど、美術がよかった。メトロポリスをCGで再解釈したような感じで(実際オマージュショットがちらほらある)、レイチェルも大きな目がマリアに似ていた。

あと、社会派的主題の代わりにフィルム・ノワールなテイストになってた。主人公はフィリップ・マーロウみたいな中年で、雨で濡れたネオン街の暗闇のなか問題解決に励む構図は古典的とも言ってもいい。レイチェルがもちろんファム・ファタールとなるのだろうけど、レイチェルには謎がない。むしろ愛してると言えだとか、抱いてと言えだとか(ひどい🤭)、主人公が彼女に人間的感情を教育しているようでもあり、ファムアンファンのような印象を受ける。ただファム・ファタールの謎がない代わりに、アンドロイドという設定で他者性を補完してるってことにはなりそう。

日本をはじめとするオリエンタル表象とサイバーパンクな世界観の融合もメトロポリス直系。人外も、東洋も、究極的には西洋の人間にとって他者なのだから、一括りにされるのも頷ける。あと繰り返し出てくる芸妓の街頭CM?が口元をクローズアップにして、やけにエロティックなのが気になった。街頭ノイズとして聞こえてくる日本語は全然文脈にあってない上、何度か使い回されてたのもワロタ。カンボジア人女性の役が日系人に演じられていた点とか、これからなくなっていくのだろうか?
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