原題は「AWAKENINGS(目覚め、覚醒の複数形)」
誰の何に対する何からの覚醒なのか
そしてなぜ複数形なのか
暗に示す原題も素晴らしいけれど、これを「レナードの朝」とした邦題の翻訳の妙
じつに美しいと思う
自我を取り戻したときのレナードの至福の表情
そしてまた喪失していくときの恐怖と苦しみに歪む表情
眠っていた30年間のレナードは不幸だったのか、そうでなかったのか
目覚めて幸せだったのか、そうでなかったのか
その答えは誰にもわからない
レナードにしか
レナードが初めて恋した女性とダンスをするシーンはほんとうに泣けて泣けてしかたなかった
もう二度と会えないと悟った表情
目覚めたことが喜びだったのか苦しみだったのかは誰にもわからない
けれど、たとえひとときでも、レナードたちが人間らしく居られたその時間はなによりも幸福であったと信じたい