若干、マイケル・ムーアの著書を彷彿とさせるブラック・ジョークの効いたパロディ風アドベンチャー映画の秀作。アレックス・コックスによる遠回し的なアメリカ批判が全編に渡り炸裂している。
モンテ・ヘルマンの『断絶』の脚本を書いたルディ・ワーリッツァーを起用している為、左派色が強め。この頃流行ったニュー・アカデミズムに言及した作風が如何にもコックス監督らしい。
エド・ハリス演じるウィリアム・ウォーカー将軍によるニカラグア征服を当時のレーガン政権下とダブらせ、皮肉たっぷりに風刺する内容。何故か１９世紀が舞台なのに「ニューズウィーク誌」「高級リムジン車」「軍用ヘリコプター」までもが登場し、右傾化していた８０年代のアメリカ社会に毒を盛り込んだ作風が相当異色である。
音楽はザ・クラッシュのジョー・ストラマーが担当。バーホーベンの擬似右翼映画『スターシップ・トゥルーパーズ』やブラックな人形アニメ『チーム・アメリカ/ワールド・ポリス』の元祖とも言うべき侵略系映画の怪作だ。🇺🇸🪖
８０年代、如何にアメリカがバブリーで偽善的空気に支配されていたかを思い知る。そんな意味でも貴重な一作となった。
