アラシサン弐

ロスト・イン・トランスレーションのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

4.5
海外の人から見えた変な街トーキョーの姿を楽しむ作品。

その視点はどこか偏っていて表面的ではあるけれど、見慣れている我々からすると、それが返って新鮮で微笑ましさすら感じる。

確かにニューヨークなら自由の女神を映すだろうし、パリならエッフェル塔だろうし、ベルギーならビールを楽しむだろうし、何というか、その地に抱かれてる浅近な印象がそのまま映し出されると、現地民が温かい気持ちになるのは独特な切り口だ。
だから、パチ屋やカラオケ、満員電車も、ゲーセンの音ゲーマーも、違いが分からないしゃぶしゃぶも、ステレオタイプなのに皮肉めいてなくてニヤけてしまうのだと個人的には思った。

そんな変な慣れない土地で、言葉が通じる男女が惹かれ合っていくのは何となく必然だなとも思う。

二人はベクトルは違えど「結婚に纏わる孤独」を持っていて、その共通点と知らない土地の心細さが合わさって仲を深めていくけど、その土地の結婚式の姿を目撃してから、何か悟ったように関係が変化していくのが印象的だった。

はっぴぃえんどが流れるのも、細野晴臣がエキゾチカに傾倒していたことを踏まえると秀逸だった。
アラシサン弐

アラシサン弐