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ロスト・イン・トランスレーションのshuのレビュー・感想・評価

3.6
行き場のない退屈、やり場のない孤独、居場所のない二人。
言語や文化の違いに振り回され、疲弊していた二人が異国の地で出会って、打ち解けるまでにそう時間はかからなかった。

挿入される音楽と、ボケ感のある映像とで、刹那性や寂しさが際立たせられる。

作中で、相容れない対象として描かれる日本の日本らしさが記号的過ぎるとか、ホテルに雁字搦めで息苦しさを感じていた二人の逃げ場が東京のアンダーグラウンドなパリピノリの世界でステレオタイプだとか(でもクラブ文化という意味ではアメリカ文化との親和性があるから馴染みやすくはあるのか)、思うところはあるけれど、人生の束の間の逃げ場として東京が選ばれるのは面白かったし(日本人的には東京から逃げ出す構図の方が自然だから)、もしかしたら何かが少しだけ変化して、でも日常に戻っていくような展開とか、良い具合に切なさを呼び起こしてくれる作品。
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