ユタ

切腹のユタのネタバレレビュー・内容・結末

切腹(1962年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

津雲半四郎という浪人が彦根藩井伊家の屋敷に現れ、切腹のために庭を借りてもいいかと訪ねてくる。家老の斉藤勘解由は数ヶ月前に同じく切腹をしにやってきた千々岩求女の話を半四郎にするが、求女は自分の娘婿だと半四郎は告げる。

映画全編の緊張感が凄まじい。序盤の求女の竹光で切腹をするシーンがとても凄惨なのだが、このシーンでは武家社会の理不尽な様子が際立っている。

中でも最も素晴らしいシーンは半四郎と沢潟彦九郎との墓場での対決シーンである。風景の撮影や、役者二人の目力、殺陣の迫力の凄まじさ(本当に真剣を使っているらしい)など何から何まで完璧だった。

半四郎が大勢の井伊家の家臣を次々に斬り殺していくのはまるで死神のようだった。半四郎は死ぬ前に井伊家の象徴である赤い甲冑を崩すのだが、彼らの武士としての面目が丸潰れになったことを示しているのだろう。
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