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切腹のSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
5.0
u nextは3月に終わる映画が多いから困ったな。
で「切腹」を久しぶりに見ました。
イャ〜やっぱりスゴイな‼️正真正銘の日本映画の最高傑作や‼️
まず白黒の映像の美しさに圧倒されるな。
シンプルやけど、抑制の効いた武家屋敷の美術。
白い壁に黒の瓦の江戸の街。
ゆっくりと移動するカメラワークにアングルの凄さ。
仲代達也、三國連太郎、丹波哲郎、そして岩下志麻の表情の迫力と美しさ。
長屋の中でユックリと傘を貼る姿も絵になってるワ。
そしてコントラストの効いたアップになった顔の持つ力には圧倒されるワ。
カッと見開いた白い瞳の中の黒い目玉の力強さ。
汗の一粒一粒までもが生き物の様に流れる。
そして竹光による切腹の惨たらしさ。
白の布に広がるドス黒い血が広がる。
後に明かされる竹光に隠された秘密にも心を打たれるんやけど。
丹波哲郎と仲代達也の決闘シーンは圧倒的や。
全てのシーンの構図が決まっていて、まるで墨絵の様。
草原の中を風が駆け抜けて、日本刀を構えた姿、殺陣の構えの一挙手一投足に惚れ惚れする。
本物の日本刀を使ってるのは有名。
最後の屋敷内での多数を相手の決闘シーン。
仲代達也が傷だらけになりながらも気力を振り絞って刀を振り翳す。
己の死を掛けた、その姿は美神と言える。
そこに全編を流れるのが、なんと武満徹の現代音楽。
静かさの中に張り詰めた琵琶の響きが無常さと美しさ哀しさが緊張感を盛り上げてくれる。
何より、橋本忍の脚本の凄さ。
仲代達也が感情を押し殺した声で喉の奥から絞り出す様に自身の過去を訥々と語っていく。
そこからジワリジワリと浮かび上がってくる武家社会の残酷で惨たらしく虚飾に塗れた真実。
クライマックスへと至るストーリー展開の見事さと説得力に脱帽しかないで。
「武士道」とは名ばかりの汚れ切った世界。
切られて放り出された丁髷に象徴された薄っぺらさと惨めさ。
63年と言う、まだまだ戦争の記憶が生々しい時代的に、明らかに戦時中の日本軍の虚飾性と愚劣、特に敵に負けて捕まってもオメオメと生き延び「切腹」さえ出来ない戦犯への無責任な体質に対しての強烈に批判が込められてると思う😡

一度、見始めたら最後まで緊張感が途切れないし食い入る様に見入ってしまう。
あまりの凄さに見終わった後にグッタリしてしまうナ😅
でも、何度でも何度でも見たくなるねん。
ホンマの意味で芸術の粋を集めた映画や。
もう、こんな日本映画は作られへんやろな。
日本映画のみならず全ての映画の中でも必見のホンマの大傑作や‼️
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