【春は必ずやって来る】
特に物語に起伏があるわけではない。ただ淡々と人々の生活の場面が流れるだけである。
その一つ一つ切り取られた場面が、些細な日常でありながらも美しく、登場人物は皆明るく陽気である。
少年の淡い恋、お祭り、結婚式など楽しい出来事を通し季節は巡っていく。
しかしその中で戦争の影や、家族にとって不幸な出来事が起きるなど、人生は決して楽しいことばかりではないという現実が突きつけられる。
1年の中に楽しいことや苦しいことが起こっても、春は必ずやって来る。この映画では綿毛が空中に舞うことが春の訪れを指すように。
季節を感じられるものが日常にあるのは、実は幸せなことではないかと思う。
「アマルコルド」とは、フェリーニ監督の生まれ故郷リミニの方言で、「私は覚えている」という意味。
登場人物の言葉の言い回しが独特でクスリと笑えた。
煙草屋の女性とのシーンは衝撃的で度肝を抜かれた…。笑