亜硝

127時間の亜硝のレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
3.6
ある意味94分の防災ビデオなのかもしれない

「人気のないところに行くときは、行き先を誰かに伝えてから行け!」というメッセージ、しっかり受けとりました いつの日かこれを観たことによって命を救われる日がくるのかもしれないですね。そういう意味では自分の大事な人にはぜひ観て欲しいような気がします

「この岩は俺が来るのを待っていた
ずっと宇宙の隕石の時から何十億年も前から宇宙で落下するのを
ちょうどこの場所へ
俺の人生は生まれて以来、毎日のあらゆる行動が
ここへと繋がっていた、この大地の裂け目へと……」
ってとこ 最高ですね
良いことがあれば人生の物語は全肯定されますが、逆に悪いことがあれば全否定してしまう気持ちは痛いほどわかるし、その上この映画みたいなマヌケな死に方を今まさにしようもんなら、本当にこれまでの全てが運命のように感じられて、過去の全てを大宇宙スケールで壮大に呪ってしまうの、仕方ないですよね………

水を渇望するシチュエーションに置かれる前に、めいいっぱい泳ぐ映像が残ってるのも皮肉きいててよかったです

ただ、後半やたらと幻覚描写を多用して引き伸ばしてる副作用のせいで、エンドロールの直前の直前、ラストのラストまで「でもこれも幻覚なのでは……」みたいな感じの疑いが残って、観ててモヤモヤしてしまいました。

これは実話ベースだからエピソードを下手に追加するわけにもいかないし、過度にエンタメを期待するのもよくないんですけどね。実際に岩場でやってること自体にバリエーションがあんまりないのが、ちょっとみてて間延びしててしんどかったです。ワンシチュエーション映画を面白くするのって難しいですよね あらためて思わされました……

それにしてもハッピーエンドで良かった……そしてこの恐ろしい状況を生き延びた人物に畏敬の念を払います。精神力がやばすぎる

腕一本切るのって大変だなぁ ぜったい嫌だよー痛いよー こういう瞬間、脳の緊急スイッチみたいなのおりて痛覚遮断とかできないもんですかね?人間の身体ってやつはこれだからままならないぜ……
亜硝

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