Genichiro

トカレフのGenichiroのレビュー・感想・評価

トカレフ(1994年製作の映画)
4.5
スバル座クロージング上映企画で見ることができた。上映後の阪本順治監督のトークが色々と面白かった。
今作もご多分に漏れず、北野武作品の影響下にあると。「当時助監督たちも飲みの場で歩いてるだけで映画は成立するよなーとか余分なカットは省いてもいけるよなーという話はしていた。ただ実際自分たちがやるとなるとお決まりのルーティンで説明的なカットを入れてしまったり分かりやすさを重視してしまったりする。北野武は飲み屋で言ってるだけだった我々と違ってそれを全部やったのが偉い」というような話を監督がしていて興味深かった。今作は阪本順治の他の作品と違い、明らかに一枚絵の強度みたいなものがある。というかそこを抜くと本当に何それ?というような話運びが気になる映画ではある。ただそのショットの強さによって最後まで見せてしまう作品であることは間違いなく、このような作品は阪本順治監督も今後も作ることはできないだろう。 冒頭のワンカットからのトカレフに触れるシーン、バスを捉えた不穏なショット、風車、終盤の犯人と対峙する場面…とにかく特筆すべきシーンが多く素晴らしい!上映後の質問でもあったけど、テレビのシーンでキャイ〜ンが出ていてびっくりした。監督があの演出は特別狙ったものではないけど素晴らしい異化効果を発揮していて「キャイ〜ンを見ると今でもこの作品の出演者だと思います」と語っていて大変良かった。
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