ナツミオ

突然炎のごとくのナツミオのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
4.0
WOWOW録画鑑賞
【ライフwithシネマ・知っておきたい「ヌーヴェルヴァーグ」】

”愛してる と男は言った
 待って と女は言った
  抱いて と女は言いかけた
   うるさい と男は言った“

4Kレストア版で初鑑賞。
今の時代でも古さを感じさせない、トリュフォー監督作品。
面白かった‼️
ジャンヌ・モローが奔放な女性カトリーヌを熱演‼️

ヌーヴェルヴァーグの名匠、フランソワ・トリュフォー監督の長編第3作。奔放な愛しか知らない女性と、彼女に魅せられた青年2人の三角関係を描き切った恋愛・青春作品の名作。

原題 『Jules et Jim』(ジュールとジム)

1962年仏作品モノクロ
監督・脚本 フランソワ・トリュフォー
脚本 ジャン・グリュオー
原作 アンリ=ピエール・ロシェ
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
撮影 ラウール・クタール
出演 ジャンヌ・モロー オスカー・ヴェルナー アンリ・セール マリー・デュボア ヴァナ・ユルビノ 

翻訳者 山田宏一

(WOWOW番組内容より)
1912年。パリのモンパルナスに来たオーストリア人青年ジュール(ジュール)はフランス人青年ジム(セール)と出会い、文学好き同士で意気投合する。2人はアドリア海のある島の女性の彫像に自分たちの理想の女性像を見いだす。やがて2人は島の彫像とそっくりな女性カトリーヌ(モロー)と出会い、3人で幸福な友情を育み始める。しかし第1次世界大戦が勃発し、ジュールはオーストリアに帰国して出征し、ジムも自国の軍人として出征せざるを得なくなるが……。

男性2人と女性ひとりという若い3人が織り成す、恋愛感情と友情が入り混じったユニークな関係を描き、後に多数の作品に影響を与えた青春ラブストーリーの名作。

トリュフォーが映画批評家時代から映画化を切望した原作。
アンリ=ピエール・ロシェの小説(ロシェが74歳のときに発表したデビュー作)を原作に、2人の青年ジュールとジム、若い女性カトリーヌの日常を見つめた。
ジャンヌ・モロー演じるカトリーヌが青年2人を困惑させながらも生気を吹き込んでいくのはトリュフォーらしい。軽やかさと繊細さが同居した、いつ見ても斬新な傑作。

トリュフォー監督の長編3作目、日本では、1999年(平成11年)に『突然炎のごとく ジュールとジム』のタイトルで再公開。

オープニングに、冒頭のセリフ。
そしてジュールとジムの関係が軽快な音楽に乗せてコミカルに描かれる前半。
理想の女神として崇める彫刻の女性にそっくりなカトリーヌに出会い、2人の男たちが翻弄される半生を描くところは、ある種、”ファム・ファタール“ものと言えるかも⁈

第一次世界大戦に徴兵され互いに敵として従軍。戦闘シーンは当時の実写フィルム。奇跡的に2人とも無事に帰郷した後、シリアスな展開に変化。

奔放なカトリーヌに公開当時、世界の女性たちから共感を得て、特に英米でヒットを記録したそう。(忘備録へ)

男性からの視点では、ジムとジュールは、完璧に振り回され、特にジムは、他の女性と結婚したにも関わらず、最後は巻き込まれて気の毒⁈

【印象的なシーン】
・カトリーヌが突然、セーヌ川へ飛び込むシーン。
ジムだけでなく、観客にも強烈な印象を残す。
余り綺麗そうでないセーヌ川。
スタントが嫌がりモロー本人が飛び込む。
やはり、喉をやられたそう。

・モローが歌うシーン。
上手くは無いが雰囲気は良い。
カトリーヌが歌うシャンソン『つむじ風』(仏語:Le Tourbillon)は、撮影中にボリス・バシアクがモローのために遊びでつくったもの。それを聞いたトリュフォーが即興で映画に取り入れた。(Wikipediaより)

・橋の上で3人が競争で走るシーン。
モローの奔放な美しさが光る。


2人の男性から愛される1人の女性。
ジャンルも違うが、アメリカン・ニューシネマの傑作『明日に向かって撃て』(1969)のブッチとサンダンス・キッド2人から愛されるヒロイン、エッタを想起させる。カトリーヌとエッタは全くキャラは違うものの
原題“Butch Cassidy and the Sundance Kid”
も男たち2人の名前がタイトルとなっているのも本作へのオマージュを感じる。
アメリカン・ニューシネマに影響を与えたヌーヴェルヴァーグ。
そして本作品は後々、世界の映画に影響を与える。(忘備録へ)

主演のジャンヌ・モローの経歴も波乱に満ちている。
そして、恋多き女優としても。
トリュフォー監督の傑作、名作でした‼️




【忘備録】ネタバレ含む
(キャスト)
・カトリーヌ Catherine
- ジャンヌ・モロー

・ジュール Jules
- オスカー・ウェルナー

・ジム Jim
- アンリ・セール

・テレーズ Therese
- マリー・デュボワ

・サビーヌ Sabine
- サビーヌ・オードパン

・ジルベルト Gilberte
- ヴァンナ・ウルビーノ

・アルベール Albert
- ボリス・バシアク

・ルーシー 
- アニー・ネルセン

・Helga
- Christiane Wagner


【概要】(Wikipediaより)
ジャンヌ・モロー演じるカトリーヌの奔放で開放的なキャラクターは多くの女性から共感を得た。トリュフォーのもとには「カトリーヌはわたしです」という内容の手紙が世界中から届いたという。特に当時女性解放運動が活発化しつつあったアメリカとイギリスでは、フランス映画としては異例のヒットを記録した。ただし、トリュフォー自身は、本作が「女性映画」のレッテルを貼られて政治的な文脈で評価されることや、登場人物と自分とを短絡的に結びつける自己愛的な映画の見方に対して否定的である。


【影響】(Wikipediaより)
・ジャン=リュック・ゴダールは本作に刺激されて『気狂いピエロ』をつくったという。

・クエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』に“Don't fucking Jimmy me, Jules”というセリフがある(本作の英題“Jules and Jim(ジュールとジム)”を意識している)。

・ジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』において、本作の2つのシーンが引用されている。

・キャメロン・クロウ監督の『バニラ・スカイ』において何度も本作がリファレンスされている。

・ポール・マザースキーが『ウィリーとフィル 危険な関係』でこの映画にオマージュを捧げている。

・井筒和幸が同じ題名の『突然炎のごとく(1994)』(1994年)を製作している。

・降旗康男の「あ・うん(1989)」は中年バージョンで描いている。
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