近本光司

地獄の警備員の近本光司のレビュー・感想・評価

地獄の警備員(1992年製作の映画)
3.0
松重豊の片耳にイヤリングを下げて、夜中のオフィスを静かに徘徊させるというアイデアが堪らない。元力士の逃亡犯という設定のすらりとした松重豊、ウィスキーをストローで注入する大杉漣。こんなお茶目があちこちに散りばめられたフライシャーオマージュのフィルム・ノワール。まるで実験音楽家が響きのいい音を探してあれこれ叩いて回るかのように「地獄の警備員」が次々に棍棒で殺人を犯しているという評に納得。しかしもう片方のイヤリングをもっているはずの主人公・久野真紀子との対峙はもっと別様の仕方で表現できたではないかなあ。