地獄の警備員の作品情報・感想・評価

「地獄の警備員」に投稿された感想・評価

落伍者

落伍者の感想・評価

3.0
子供の秘密基地と廃墟、生物の体内が混然一体となったような地下の機械室がとても良い。「アサギの呪い」や「悪魔のいけにえ2」を連想する。加藤保憲というよりかはベガっぽい松重豊も良い。

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと思ってたのと違ったけど、わりと楽しめました!殺しがしたいだけっていうサイコパスな松ちゃんが観れる貴重な映画ですね!
松ちゃんスタイル良いし、若い頃から色気がすごいです!
漣さん…何やっても上手いですね…ほんと名優です。
私は黒沢清の映画はそれほど好きな方では無いのだが(如何にもシネフィルシネフィルとした作風がたまにムカつく)この映画の場合、まだ監督自身が楽しんで作っている印象を受けて上質なB級ホラーとして面白く拝見出来た。

『CURE』とか『蛇の道』とかで作家性が確立される前の純粋だった頃の清。敬愛するトビー・フーパーへのオマージュが全編に炸裂している小粋な映画。🪓

元力士という設定のサイコパス警備員が主人公達に襲いかかるだけの単純な設定だが、チープさスレスレで保ってる感じが逆に愛しく感じられる。松重豊がイイ。『孤独のグルメ』とは180°違う演技を披露している。ホラーの割には全く怖くないのが致命的かも知れないが、むしろそこが清の作家性。

幽霊よりもニンゲンが一番怖い、という事をこの映画から教わる。💀
変態でストーカーの警備員があんたは運が悪かったと一人一人殺して行く。無表情に人を殺していく松重豊が怖い映画。
元相撲取りの殺人鬼ってアイデアがすでに100点。ロッカーごとに押し潰すシーンが強烈に印象に残ってる。
まさかこの殺人鬼がその後日本各地を独り言を言いながら食べ歩きをする人になるとは…
shitpie

shitpieの感想・評価

3.0
遺恨を残した『スウィートホーム』から3年後の、黒沢清長編第4作目。黒沢のフィルモグラフィをたどってわかったのは、この映画が彼の二度目のデビュー作だというふうに感じられる、ということ。シンメトリー、ロングショット(久野真紀子が地下の資料室に閉じ込められたシーンやラストカットが印象的)、長回し、ベールのようなビニールのカーテン……。カメラの置きかたや撮りかたもふくめて、どこまでも黒沢的。ぎゃくに、この時点でこれほどまでに完成されていたのか、と驚かせられる。エドワード・ヤン的な構図、ときたまロベール・ブレッソン的なカット、つまり、黒沢が言うところの「ヨーロピアン」な表現で、どこまでもアメリカ的なスラッシャーやゴアを表現しているあたりが、なんとも黒沢らしい。また、ただひたすらに暴力をふるう装置と化した松重豊は、じつにおそろしい。それと、俳優たちが叫んだりせずに、恐怖や暴力に面して、声を失ってしまう演出がすばらしい。それと、殴打音のドライさに打ちのめされた。ほんとうによくできたホラー、サイコスリラーだと思う。由良宜子が最高で、死なないのかな〜と思っていたら、あっけなく死んでしまった。ラストカットに洞口依子も出てきて大満足。黒沢清は、もう一度ここから始まった。ここから『クリーピー』までは、一直線の道のりだ。
茜

茜の感想・評価

3.3
暗くじっとりした和製スラッシャーとしては面白いんですけど、観れば観るほど「なぜ相撲取りなのか」という疑問ばかりが浮かんでしまう。
日本人に馴染み深いスポーツだからなのか、力持ちだからなのか…それなら柔道とかプロレスラーでも良い気がするし…。

本来であれば安全を守ってくれる立場の「警備員」が殺人犯っていうアイデアは面白いです。
警備員ならば施設内を知り尽くしているし、鍵だってあるし、カメラで監視だって出来る。
この警備員を演じる松重豊の、何を考えているのか全く読み取れない無表情さと、2m位の高身長にロングコート・制帽・ブーツという出で立ちでゆっくりと歩く姿は威圧感があってとても怖い。
暗いシーンでも、この人のシルエットだけで恐怖感を煽られる。
ヒロインの落としたイヤリングを片耳に付けているところも凄く気持ち悪くて、殺人犯&ストーカーという、まさに地獄の組み合わせ。

でもどうしても「元力士」という設定が邪魔をするというか…とても印象的なキャラなんですけど、やっぱりどう考えても力士っぽくないんですよね。
殺し方も残忍で凄惨なんだけど、張り手する訳でもないし、一本背負いとかする訳でもないし…。
ロッカーごと圧縮死とかもかなりの力技で凄いなぁと思ったんだけど、これもやっぱり力士じゃなくてもいいし…。
元力士って設定をもっとゴリゴリに生かしてくれていたら、かなりツボにハマる映画になったんじゃないかと思う。

とは言え、何かが心に引っかかる不思議な余韻の残るラストなんかは結構好き。
何となく秋子とあの人にそこはかとない不倫の匂いを感じたし、最後に秋子が歩いていく方向なんかも深読みしたくなってしまう。
待望の初鑑賞!
筒井康隆の短編恐怖小説「走る取的」が好きな自分としては、冒頭のタクシー内のエピソードで掴みはバッチリって感じでしょうか。

松重豊はやっぱりこういう恐ろしい役が似合います!!ドラマ「世にも奇妙な物語」内での一本「懲役30日」でも、刑務所の無慈悲な看守役をやっていて大ハマりだったんですけど、今作の役柄は通じるものがありますね!最高!

日本人に古くから伝わるエピソード
「力士にだけは喧嘩を売ってはいけない」
この手の伝説の一端を盛り込んだ恐怖映画と言えます。
興味がある方は、筒井康隆の短編「走る取的」も是非読んでみて下さい!
今では各地の飯屋で旨そうに飯を食ってる松重豊が、元相撲取りの殺人鬼を怪演。まず、相撲取りの殺人鬼って設定が素晴らしい。
黒沢清監督作品では「スウィートホーム」の次作が本作のようで、随分スケールダウンした感は否めないが、前述の殺人鬼のビジュアルは素晴らしかった。
正直、怖くもないし直接描写もない上に、登場人物のセリフや行動も不自然でコメディにすら思えてくるけど、影の使い方などは流石だなと思った。
あと、ロッカー潰しのとことか良かった。地味に嫌~な殺され方。
そして大杉漣の怪演、やっぱり凄過ぎる。
朝田

朝田の感想・評価

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モロに「悪魔のいけにえ」スタイルな黒沢清にしては珍しいほどシンプルなスリラー。トビーフーパーを含めジャンル映画への偏愛はこれまで見てきた作品に必ず見受けられたものの、ここまでガッツリとスリラーを作るとは。「追うもの」と「追われるもの」の関係性がはっきりしている。黒沢清はホームドラマや、青春映画など他ジャンルの中にジャンル映画からの引用を施したり、サスペンスにJホラーの要素を取り入れたりと一つの作品の中に異なるジャンルが強引に同居しているのが大きな魅力の一つだが、この作品は正々堂々、真っ向からアメリカ式スリラーをやってのけている。こうしたシンプルなジャンル映画を作ったからこそ、「蛇の道」や「蜘蛛の瞳」など後のvシネマの枠でベルトルッチオマージュをやるような変化球的な作品にステップアップ出来たのかなと思う。突然変異的に黒沢清という才能が生まれたわけではないと気付いた。同時に、黒沢清の作家性にこの段階で確固たるものを感じさせるのには驚いた。透明なカーテンや廃墟というお馴染みのモチーフが既に用いられている。撮影の切れ味は黒沢作品の中でもかなりのレベルだと思う。単なるオフィスの中の光景が光と影の絶妙な塩梅によって「黒沢清的」としか言いようがない不穏で美しい光景に様変わりして捉えられる。久野真紀子が一人で廊下を歩くシーンの不気味さたるや。黒沢清が得意とする絵面がもう出来上がっている。90年代黒沢作品お馴染みの大杉漣の狂った演技も楽しいが、若い頃の松重豊がやはり見物。自分の世代の認識では孤独のグルメをやっている人というイメージだが無表情なサイコパスを演じているのが新鮮だった。
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