地獄の警備員の作品情報・感想・評価

「地獄の警備員」に投稿された感想・評価

mutuzo

mutuzoの感想・評価

3.6
松重豊のメジャー俳優へと導くきっかけになった作品。

元学芸員の成島秋子は商社に就職し、絵画取引を担当する。
同じ日に入社した元力士の警備員の富士丸(松重豊)は、元殺人犯だったが、精神鑑定の結果、無罪となっていた。
だが、富士丸はここでも殺人を犯し始め…

松重豊が狂気の警備員を演じる。
どう見ても、元力士には…
そして、セキュリティ担当が人を襲っていくという理不尽さ。

闇に隠れて、殺人鬼の顔がはっきりと見えないのも気味が悪い。

ほとんどが棍棒による撲殺ですが、ロッカーを潰すのにはマイッた。

ラスト30分の展開は目が離せない。
そして、ラストは…

故大杉漣さんが、怪しい役で出演しています。合掌。
XmasStory

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3.0
小さい頃に観てたら怖くてダメだったかもしれないけど大人になった今だと時代の古さもありむしろちょいちょい笑っちゃった。だけど面白かったです。初だったんですね本作。自分でもびっくり。顔がはっきり見えない松重豊さん、元力士にしてはスマート?ロッカー潰しは強烈、テレックスだっけ?あれは初めて知りました。諏訪太郎さんが生き残り意外だったり。ラストはハッピーエンド?あんなオフィスは嫌だよね。
地獄の警備員こと松重さん。帝都物語の加藤みたいな姿形で不気味…
と言いたいけど今となっては「うん?孤独のグルメの人じゃん!殺しまくるけど…実は良い人なんでしょ?知ってるよ」的な好感度(大)、知名度(中〜大)な役者さんになったので全く地獄を感じなかった。当時観たら違ってたと思うけど。

映画的にはゆるい気持ちで見れば愉しめる。ゆるい気持ちで。ただヒロインが助けたい気持ちを起こさせない顔(個人的に)だったのが残念。音楽も安っぽい。
確かに、ロッカーから血が流れるショットはターナーの『レオパルドマン』を参考にしていそうだ
堊

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3.1
砂糖ぶちまけるところ。
あとは諸星大二郎の会社が生き物になるやつっぽい。
netfilms

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4.2
 成島秋子(久野真紀子)は商社に就職し、絵画取引部門で働き始めることが決まっていたが出社初日、タクシーが渋滞に巻き込まれまったく動かない。タクシー運転手(下元史朗)は朝から薄気味悪いジョークをかましながら、成島を引き留めるが、我慢出来なくなった彼女は歩いて会社へ向かう。急成長を遂げる総合商社・曙商事に2人の新入りがやって来る。ひとりは絵画取引のために新設された12課に配属された元学芸員の成島秋子。もうひとりは驚くほど巨体の警備員・富士丸(松重豊)。元力士である富士丸は、かつて兄弟子とその愛人を殺害しながらも精神鑑定の結果、無罪となったいわくつきの男だった。会社前、警備員の間宮(田辺博之)に引き留められた秋子は彼に名簿用の証明写真を渡す。だが後ろには不気味なバンが見える。新設された12課は心底嫌味な久留米浩一(大杉蓮)の元、吉岡実(諏訪太朗)や野々村敬(緒形幹太)、高田花枝(由良宜子)に秋子を併せた合計5名しかいなかった。元学芸員で絵画に精通している秋子は会社のために進言するが、意固地な久留米は彼女の言うことを聞こうとしない。絵画バイヤーの仕事で会社のお荷物である12課を尻目に、やり手のバイヤーで一匹狼の兵藤哲朗(長谷川初範)は今日も留守電を残し、居留守を決め込む。

 末期のディレクターズ・カンパニー内部においても、制作会議は盛んに行われていた。そこで黒沢は元相撲取りの警備員が、あるビルの中で殺戮を繰り返すという異色のホラー映画を会議にかける。これは『スウィート・ホーム』の制作断念を踏まえ、黒沢が考えた苦肉の策だった。その企画に真っ先に反応したのは、ディレクターズ・カンパニー内部では根岸吉太郎だった。ちょんまげを結った警備員が殺人鬼になるというアイデアを面白がり、アテネ・フランセ文化センターの出資により、低予算である今作の撮影にこぎつけたのだった。こうして様々な紆余曲折を経て、ようやくクランクインに漕ぎ着けた今作には、黒沢のホラー映画への純粋無垢な思いが充満している。セザンヌの『ひび割れた家』の歪な造形、久留米のインシュリン注射を見せびらかす場面に現れた換気扇はトビー・フーパーへの無邪気なオマージュに他ならない。ロッカーから溢れ出す真っ赤な鮮血、深夜に撮ったディレクターズ・カンパニーのビルの明かり、給湯室にかけられた半透明カーテン、真っ赤な血に染まったイヤリング、そして吉岡実のラスト・ミニッツ・レスキュー。無邪気にアメリカ映画を再定義する黒沢清の試みは、編集前にジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターを観たことで混乱し、富士丸のキャラクターは妙に哲学的な言葉を吐く。「それを理解するには勇気がいるぞ」と呟く富士丸の意味深長な言葉は、『カリスマ』の「世界の法則を回復せよ」とほとんど同音異義語のようにも聞こえて来る。
ドント

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3.6
92年。面白かった。大手企業の新しい課に就職した女。ろくでなしばかりの上司や同僚に囲まれどうなることかと思っていたら、一番ヤバいのはサイコな殺人警備員だった。
細身の松重“孤独のグルメ”豊が元力士だとか、その力士が人を殺しといて無罪になって警備員やってるとか色々無茶にも程があるのだけど、撮る人が撮るとこういうことになる。ほぼ社屋のみが舞台で登場人物も少ないので思い返してみれば低予算、でも黒沢印のライティングにかかればあら不思議、会社が無限の闇と不気味な空間と化し、「これはもうそういうモノなのだ」と説得させられる。暗すぎる社内、異様な階段、誰も覚えていない課。こういう世界なら、こういうことも起きるだろう、みたいな。
殺人鬼映画としては殺しの手も数が少なめながら骨折、お湯かけ、ロッカーなど陰惨なやり方で魅せてくれる。理屈も倫理も越えた存在の松重さんが2mにすら見えてくる(本当は188cm……でかいな……)のも魔術的ですね。画で語る作品とは言え、台詞が聞きとりづらいのがかなり難。
horahuki

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4.1
三年前、富士丸という力士が兄弟子と愛人の体をひねり殺害。でも心神耗弱により刑事無責任で釈放。そして現在。美術品に詳しい主人公は新しく勤めることになった商社で慣れない中過ごすが、そこには富士丸という恐ろしくデカくて不気味な警備員がいて…という話。

大好きな黒沢清監督の初期の作品で、和製スラッシャー映画の傑作です。でも刃物使わないからスラッシャーではないのかな?(^_^;)
黒沢監督は難解な作品が多いですけど、これは全くそんなことはなくて「逃げることができないビルの中で殺人鬼が次々に人を殺して行く」というすごくわかりやすい内容。

それでも黒沢清らしさは抜群で、暗闇の使い方がトンデモなくうまい。全編通してほぼビルの中だけで物語が展開するんですけど、昼でも夜でも構わずずっと薄暗いんですよね。そして、どんよりとした空気がビルの中に常に漂っていて画面に全く温かみがないんです。ただのオフィスビルを幽霊屋敷のような異様な空間へと変貌させる撮り方や演出が素晴らしいです。

序盤で印象的なのは富士丸が通路を横切るシーン。本当にただ横切るだけなんですけど、その巨体と光と影の加減で、この世のものではないまさに幽霊のような、見てはいけないものを見てしまったんじゃないかと思うほどの不気味さ。そして、富士丸の高圧的で横暴ながらも冷静かつ冷徹な言動が怖い。

殺し方もエグいのが多くて、中でもロッカーに閉じ込めて体当たりでロッカーごと押しつぶすシーンが強烈でした。直接的なグロさはないけど、ロッカーが潰れるごとに叫び声が徐々に聞こえなくなっていくというのが中の悲惨さを想像させますね。

そして、ラストの言葉で富士丸の底知れぬ闇が見え隠れしてゾッとするような余韻がありました。富士丸を演じてるのは松重豊なんですけど、怖すぎて『孤独のグルメ』でご飯食ってる人とは思えなかったです(^_^;)
『CURE』よりオモロイ。いや、断然こっちの方がイイ。☆(笑)

「俺を理解しようとしても、あんたにはとても耐えられないだろう……」

今や『孤独のグルメ』などでお馴染みの、松重豊が見せる怪演。
巨体を揺らめかせ、警棒で次々と撲殺。
女性を軽々と持ち上げ、ロッカーにブチ込み、素手で圧殺。
こちらの常識は一切通用しない。
日本映画史上に名を残す、狂気のホラーアイコンがここに誕生したのだ…!☆

まず、冒頭シーンを飾るのが、あの史朗(下元史朗)だぜ!?
史朗が出ている…!ただそれだけでもう、その作品の成功は約束されたも同然なのだ…!

そして、大杉漣。部下である主人公の秋子を個室に呼び入れ、
「成島くん…何もしないから、じっと見てくれているだけでいいんだよ…♪」
と、ズボンをずらす漣。☆

電源も電話線もユタカに破壊され、外部との連絡が取れない状況で、
「そうだ、テレックスなら電話と別回線のはずですよ!」
となるんだけど…。1992年当時か。今だったら皆ケータイ持ってるから、ソッコー警察に通報できるんだけどね…。

そして、諏訪太朗。
まさか彼が…(※↓コメント欄にネタバレ)…する事になろうとは…!

「俺のことを忘れるな……」

…うん、当分夢に出てきそうやわ☆(笑)
黒沢清の手にかかれば、そのへんの会社のビルが暗部をたたえた迷路になり、ただの警備員が地下室に潜む怪人となる。もはや完全に異界と化した地下で繰り広げられる殺人。

あれほど暗い会社も実際にあったらいやなものだが、この作品はそういうリアリティの線引きの上には乗っていない。

そこで働いている十二課の人々や先輩の警備員たちもどこか歪んだ暗部を持ち合わせている。この映画、ほとんど会社を出るときがない。やや開放的なのは兵藤という男との会話で屋上に出るシーンぐらいなもので、全編にわたって息苦しさが漂う。

全く意味不明な動機で殺されていく登場人物たち。殺され方も容赦なくおぞましい。ロッカーを使った殺し方とか、新鮮であり、ほんと嫌な死に方だなーという感じ。

また資料室で「化け物」が扉の向こうから迫ってくるところもいかにも外連味あふれる怪奇映画っぽい演出で最高だった。