ThePassenger

エヴァの匂いのThePassengerのレビュー・感想・評価

エヴァの匂い(1962年製作の映画)
4.0
アメリカで吹き荒れた赤狩りの嵐を逃れ、イギリスやフランスに活動の場を求めたジョゼフ・ロージーは極めてヨーロッパ風の映画を撮るフィルムメーカーだ。ヴェネツィアが舞台の「エヴァの匂い」はそんな彼のセンスが如何なく発揮された作品のひとつと言える。まるで女王様のように振る舞うエヴァと、彼女から「みじめな男」と再三に渡って蔑まれながらも必死に後を追うタイヴィアンの主従関係には或る種SM的な倒錯性が窺え、それは同監督の「召使」や「秘密の儀式」にも通じるロージー好みのテーマ。名手ジャンニ・ディ・ヴェナンツォのカメラワークが素晴らしく、特に鏡の効果的な用い方に冴えを感じさす。ビリー・ホリディの唄う主題曲「柳よ泣いておくれ」を中心としたスコアも大変良い (2024-14)
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