Toranosaurus

選挙のToranosaurusのレビュー・感想・評価

選挙(2006年製作の映画)
4.5
日本の選挙がどういうもの(だった)か、これを見ればわかる。
基本的にどぶ板選挙で、政策の話など一切せずに、おじぎと握手と候補者名の連呼である。もっといえば、2005年の話なので、「小泉自民党の」を連呼するだけ。中身がない。
たばこ屋のおばさんから「この辺の水はけが悪くて……」と相談される場面がある。これを地元の声に耳を傾けると考えるか、利益誘導型政治の一端と考えるかは微妙なところ。
幼稚園の運動会を回り、スーツ着たまま準備体操をするシーンはシュールそのもの。東大出て、こんなことしなきゃいけない感は正直ある。とにかく体育会系で握手の仕方ばかりを教える。
後援会での話し方も、昭和丸出し。「妻」ではなく「家内」と呼べとか、下ネタ全開の話とか、そういう話ばかりが受ける。
一方で、選挙を支えるスタッフの動きも非常に興味深い。スタッフからすると、候補者が勝ってくれないと意味がないので全力で支えるが、候補者自身を叱責することもある。人海戦術で電話やポスター貼りをやり、組織力が大事。その上で、「これだけ支援されているんだから、造反なんてありえない」という当時の事情を伺える発言もある。
とにかく、日本の選挙がどのように進められてきたかがわかる作品。
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