みやこ

ガスパール/君と過ごした季節(とき)のみやこのレビュー・感想・評価

5.0
ひとりだけど、ひとりじゃない

自分の子どもに置き去りにされた老女ジャンヌと、彼女を拾った中年男ロバンソン&ガスパールとの奇妙な共同生活を描く。

なんといっても、ロバンソンとガスパールのコンビが最高。失業中でお金も食べるものも無いのに、あんなに毎日楽しそうに笑って過ごせるなんて羨ましいかぎり。他人の家に忍び込んで晩餐とか普通に犯罪だけど、この二人ならこっちから招きたいくらい。そして、ケラケラ笑いながらパーティーをしてほしい。

ばあちゃん、ガスパール、ロバンソン、ローズ、イヴ。登場人物みんなが何かしら孤独な思いを抱えているけど、孤独を知る者だからこそ持つ「優しさ」が彼らを結びつけていく。人と人との出会いで、1+1が3にも4にもなることがある。この映画の、弱い者に対するまなざしはとてもあたたかい。

おはよう○○!とか、背中にペンキがついちゃうとことか、看板を見上げるとことか、良かったシーンを挙げればきりがないほど。カラフルな画面とゆったりとした音楽も、なんとも言えない良い雰囲気を出している。ちょっぴり切なさが残るラストシーンも大好き。

私も鮮やかな色のペンキが塗られた椅子に座って、あの食堂でほっと一息つきたいな。波の音を聞きながら。
みやこ

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