剣々

アラバマ物語の剣々のレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
4.2
少年少女の胸に刻まれたとある出来事

アラバマ州の田舎町メイカムでジェムとスカウトの兄妹は弁護士の父アティカスと暮らしていた
ある日アティカスの元に黒人男性の弁護の依頼が来る
黒人の弁護についたアティカスを快く思わない白人達の風当たりは強くなり、そして裁判は思わぬ結末を迎えることに……

差別の中正しい行いを貫いた父を見てきた子ども達の物語
めちゃくちゃ素晴らしい作品じゃないですか!
想像以上にブッ刺さりました

物語は娘スカウトが当時を思い返す様な形で進行していきます
この物語の中核にあるのは黒人が白人を乱暴したという裁判と家の中に監禁されていると噂の隣人”ブー”
これらの話が主に子ども達の視点で繰り広げられるわけです
裁判に焦点を当てつつも語部が子ども達というのが非常に興味深いです

グレゴリー・ペック演じる父アティカスは差別に満ちた偏見に負けじと真正面から向き合います
この正しく真っ直ぐな姿はカッコいいです!
なんでもこの弁護士アティカス・フィンチは、アメリカの良心を体現したキャラクターとして非常に人気があるそうです
2003年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選んだアメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100では、ヒーロー部門第1位に選ばれたとか(※wiki参照)

そして裁判のシーンでは理路整然と事実を結びつけ、明言こそしないものの真実を導き出していく姿が素敵です
陪審員達は彼の言葉を一体どう受け止めたのだろうか
少なくともこの裁判は子ども達の心に確かなものをもたらしたと思います

もう一つの物語謎の人物ブーの正体
こちらは子ども達の好奇心がフルに発揮されていて実に子どもらしい話だと思います
そんな謎の人が隣人だと言われると怖い一方で興味持っちゃうのが子どもですよね

これらの出来事が一本のストーリにまとまるラストの展開もまた良いですね
重要な役どころで存在感を示したロバート・デュバルは本作がフィルムデビューだとか
余韻ある締め方も好きです

正しさを貫いた父とその子ども達の物語でした


【雑記】
今回のみんかい❓鑑賞でした
素晴らしい名作ですね
ここ最近何本かクラシカルな古典的名作を観てその面白さに改めて気づけた気がします
映画ってすごいなー面白さは時を越えるんだもの
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