明るく楽しい映画を観たい気持ちで、比較的評価が高くてまだ観ていなかったクレしんを。
映画の世界に魅了されて少しずつ元の暮らしのことを忘れ始めてしまう展開は、旧作のオトナ帝国とも通じる部分があって、しんちゃんたちの薄っすらと漂う危機感のようなものが感じられました。
異なる部分は大人だけでなく子供たちにもその影響があって、今の自分をリセットして新しい自分・人生を歩んでいきたいと言っている様子（5歳にしては人生経験豊富だったり、考え方が大人びている…）は、映画の世界に没入して登場人物に感情移入してしまうそれと被せているのかなと思ったりしていました。
そこから転じて、映画（空想）の世界を楽しむのも良いけど、ちゃんと分別をつけて現実に戻ってくるんだぞというメッセージだと思うことにします。
結果的にヒロインと言えるつばきちゃんの落とし方がキーキャラの割には少し物足りなさがあるのですが、クレしん的に物足りなさがある（もっと分かり易く大団円にもっていきがちなので）だけであって、一般的な映画で言うと視聴者が考える部分というか余韻的なところでもあると思うので、映画をテーマにしている本作でいうと正解なのかも知れません。
併せて、結果的にしんちゃんの引き際の良さも顕著だったのですが、「現実に戻ってきた5歳児」という実年齢からみると興味の移り変わりが激しく、目先の部分に情熱を注ぐ年齢でもあるので、自然なんじゃないかと自分で納得させています。
大人も子供も映画を観ることでほんの少し成長できるような良い作品でした。
