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サウダーヂのののレビュー・感想・評価

サウダーヂ(2011年製作の映画)
4.7
俺は何を観ていたのだろう。でもくっそおもれぇ。これは自分の趣向とドンピシャな映画。ラップシーンまじで最高。
村上龍読んでるかのような生々しさ。ドキュメンタリー映画ですら映さないような細部。あのブラジル人家族の食卓のシーン、きっとこの先忘れられない。どういう生活してます、とか、だから家族の関係性はこうです、とか口で説明するよりよっぽど雄弁。退屈を描いているのに観客は退屈にならないという凄さ。
強烈に社会を批判してるのに、プロパガンダ的な映画になってない。嫌みに感じない。本当にナチュラルに社会の歪みを感じさせてくれる。すごい。
演技はうまくないはずなのに、身体、言葉に嘘がない。頭の中で易々と再生される彼らの人生。
構図はライトなロイアンダーソンって感じ。
俺も北海道のどこか、誰も知らない土地で遊んで暮らしたいと思ってたけど、あのフィリピン人の子のいう通りなんだろうなぁ。その現在地点への葛藤というか、どこかへの渇望というか。
例えば同じ群像劇でもパルプフィクションのように、ストーリーとして分かりやすい繋がりがないのに、ラストの商店街のシーンでどうしようもなく感動するのは、それまで延々と「甲府」という場所がどんな場所で、そこに暮らす人が今どんな生活をしているかを見せ続けられたからだろうな。
正直語り口が多すぎて整理がつかない。とにかくすごい映画を観た。
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