ミサホ

アウトレイジ ビヨンドのミサホのレビュー・感想・評価

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)
4.0
面白かったです。
北野監督作品は、ここまで、出来るだけ時系列(製作順)を守って観て来ましたが、『監督ばんざい』と『アキレスと亀』をすっ飛ばしての、本シリーズです。

しかし、実を言うと、
本作は二度目の鑑賞です。

山王会は、先代の死後、会長に加藤(三浦友和)、ナンバー2に石原(加瀬亮)が付き、そのツートップを中心に経営してます。

まず加瀬亮の小物っぷりが良い。
実力でのし上がったのではない、この地位には相応しくないことは自身がよく知っているかのように、キャンキャン吠えたてる。ドスが効いていなくて、いささか軽いタッチの恫喝は、彼の行く末を暗示しているよう。

演じた加瀬亮本人も、元々、こういう役は苦手なのだろうなと思わせる、声のうわずりが、妙にこの役柄とマッチしている。

だから、出所した大友と対峙したシーンなんかは逆に自然で、“ただの金庫番がナンバー2に”という夢物語に今にも溺れてしまいそうにアップアップしている、実は小心者な男を上手く演じていた。

大友役のたけしは良かった。刑務所の作業着もよく似合っていたし、作業着姿でも、眼光鋭い恐ろしさにハッとした。関西の花菱と山王会との間で、利用され、もみくちゃにされる哀しき男。

それでも大友ために、自分の指を噛みちぎるくらいの忠誠心をもった、木村(仲野秀雄)の存在は心強い。男の絆は不思議だねぇ。前作では顔をばっさりいかれたのに。

あちこちの組を縦横無尽にコントロールして掻き回す、マル暴の片岡は、本作でも粘着質ないやらしさをいかんなく発揮している。すごいよね、小日向さん。

その横暴ぶりを冷ややかに見つめる片岡の部下(松重豊)も良かったな。最終章では、この人が暴れるのかな?『孤狼の血』の日岡みたいに。

暗殺要員の一人で、寡黙な殺し屋を演じていた高橋克典。彼は、こないだ観た松本清張のドラマ『点と線』での縁で出演に至ったのかな〜。そう考えると、この流れは個人的に感慨深い。だって、『点と線』を観てなかったら、“いきなり高橋克典!”みたいになるとこやったよ。“なんで?”ってなるとこやったよ。

本作も前作に負けず劣らずおもしろかった。関西VS関東の構図だったけれど、やっぱり、関西弁は迫力あるなぁ。

さて、次は最終章を観よう。
ミサホ

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