ShunUjita

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君にのShunUjitaのレビュー・感想・評価

4.9
深夜に1人で、など精神的に万全でない状態で観ることはオススメしない。なぜならこの映画が用法と用量を守らないと危険なモノであるからである。かつて生まれてきた映像作品の中で最も重要な作品の1つである。しかしながら映画として単体で完結した作品とはいえないことと、構成の粗雑さを考慮して満点より0.1点低く点数をつけた。ストーリーは一人の人間の心の成長、気づきの過程に焦点を当てたものであるが製作者が描こうとしたものは、物語ではなく、この映画の鑑賞者がどのように生きていくのか、である。作品の大部分が登場人物たち(人ではないものも含む。)の問答から成り立っているが、この問答はまさしく製作者と、我々鑑賞者の間でなされる問答である。しかも産婆術なのである。これほどまでに製作者と鑑賞者のインタラクションがなされる作品は他にはないのではないか。ストーリーの枠を超えた主人公は我々自身なのである。我々がエヴァンゲリオンという夢から覚め、明日からどう生きるのかがこの作品の最大のテーマである。製作者は自らの作品に我々鑑賞者をも取り込んでしまっているのである。このようなことを見落としながらこの作品を観ると、過激な描写としてあらわれる精神の泥から蓮の花が咲く瞬間の泥にばかり目がいってしまい、映画は鑑賞者にとってこちらを覗く深淵となってしまう。ちなみに、この作品を観てからTVアニメシリーズを観るのもオススメである。
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