このレビューはネタバレを含みます
実話ベース(半分推察)ということもあり、
凄くリアルだった。
当時の9.11の出来事があまりに凄惨で、見ていた人に強烈なショックを与えたのだろうと感じさせられた。
全体的に、誰かが明確に悪く描かれているわけではない点が面白いと思った。テロを起こした男たち、管制塔や軍の遅い決断、乗客たち、その誰もが、明確に悪人であると描かれてはいないように感じた。そこはあえての描写なのだろうか。
テロリストたちでさえ、何かの信仰のために命を賭していた。なにか私利私欲のためというよりかは、彼らは彼らの信じるなにかのためにあのような行為を行った。管制塔や軍についても、特段判断が遅いというよりかは、ただあのような緊急事態に対して即決する仕組みを用意できていなかっただけという印象だった。なるべくしてなっていた。9.11は特別何者かの思惑、ではあるのだが、あのような世界中を震わせた凄惨な事件が、まるで「自然な現象」だったかのように感じさせられた点に、なまなましさを感じた。テロというより、まるで自然災害かのような。おこることは、おこるものであり、それは運命に定められていたかのように「おこる」ものなんだなと客観視させられる気もした。
P.S. 人が自分の死の間際にとる行動は皆、誰かに愛を伝える事だったという点も印象的であった。