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黄昏のとぽとぽのレビュー・感想・評価

黄昏(1981年製作の映画)
4.5
僕は未だかつてこれほどまでに愛しい映画を知らない、思わずそう言いたくなるような作品。ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーン名優二人の人生経験が滲み出た名演技、娘ジェーン・フォンダから父ヘンリー・フォンダへの手を差し伸べるような歩み寄り、そしてヘンリー・フォンダの奇しくも最後となったスクリーンに刻まれた姿。映画の魔法という表現をよく使うけど本作は毎秒毎フレームがまるで魔法、こんなにも有意義で本当に価値のある作品はそうそうあるものではない。心掴まれ色づく。これは起こるべくして起こった傑作。
ノーマンはノーマン。皮肉屋の毒舌でついつい憎まれ口を叩いては喧嘩っ早く相手を言い負かすキャラクターが際立っている。長年歪み合ってきた父と娘の確執を扱った作品を実生活にも置き換えて、人生最後の季節を温かく優しく彩り豊かに切り取ってみせた。音楽の使い方が幾らか情緒的に煽りすぎな気もしたけど家族観、死生観、様々な要素が深い洞察と思わずノスタルジーな気分に浸ってしまうような作品を包む空気・雰囲気と共に自然な形でそこにある。そしてまた子を送り出し、夫婦は二人で最後の時を過ごす。ここに理想の夫婦の形を見た、こんな風に誰かと歳を重ねられたらな。愛しすぎる、素敵すぎる、抗えないかけがえのない時間。自然と頬は綻び、笑みがこぼれ、涙腺は緩む。原題の意図を汲み取るようにシンプルな邦題も秀逸。

ノーマンが直す「ここでは子供なの」Bullshit! いい言葉だ「人生に怒鳴ったの。上辺を見ただけで人は理解できないわ。ノーマンは精一杯生きてる、ままならぬ人生を」Are you afraid of dying? 「友達になって」大学飛び込み大会2位のメダル「アビがあいつに来た」つがいだけ
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