広島カップ

黒い画集 あるサラリーマンの証言の広島カップのレビュー・感想・評価

3.0
「オイオイ、妻も子供もいて社会的地位もあるのに不倫なんかスッからそんな目に遭うんだぜ...」
という話か?

「アア、じゃあ俺は大丈夫だよ、家庭はあるけど社会的地位なんか無いし...」
ツう話じゃあないですね。

「不倫をするなら、失う物など無い!という決意でやらないと痛い目に遭うゼ!」
という話かな?

「でも、そんな決意で不倫をする中年サラリーマンなんか居ないよな」
という話。

本作を渋谷で観たサラリーマン諸氏が新橋辺りの、いや新大久保辺りの居酒屋で会話してそうな作品。

自らの生活防衛か?冤罪を背負った隣人の命を救うのか?両者の狭間で苦悩するサラリーマンを演った小林桂樹の実在感が素晴らしい。
小林は『江分利満氏の優雅な生活』(1963)でもそうでしたが高度成長期の日本のサラリーマン役が抜群に似合います。

『生きる』(1952)『七人の侍』(1954)などで黒澤明の助監督を勤めた堀川弘通監督。登場人物の心の葛藤を描くのに抜かりがありません。
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