黒い画集 あるサラリーマンの証言の作品情報・感想・評価

「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に投稿された感想・評価

「どうして……どうしてこんなことに……」

授業や仕事をサボっている時に知ってる人にバッタリ会ってしまうことほど気まずいものはなく、しかも、それが自分の身を破滅させるほどの恐ろしい事態に発展したとしたら……。

小林桂樹主演の本作は、 松本清張の短編集「黒い画集」の一編を映画化した本作は、不倫相手である部下の家を訪ねたことで運命の歯車が狂ったサラリーマンが主人公。

ある夜、新大久保にある愛人宅から帰宅する途中、主人公は偶然、自宅近所に住む保険外交員と出くわす。

後日、主人公のもとへ警察が訪ねてくる。実はあの晩、向島で人妻が夫の留守中に殺されるという事件が発生しており、その容疑者として例の保険外交員が逮捕されたという。

犯行のあった時刻には、主人公が新大久保で遭遇しているから、この男が犯人でないのは明白。しかし、もしこの事実を証言すれば、自分が何故あの時刻に新大久保にいたのかが明るみに出てしまう。

やがて裁判が開かれ、外交員には死刑が求刑される中、果たして主人公は真実を語るのか、それとも……。

小林桂樹さんというと、テレ朝で放送していた2時間ドラマの牟田刑事官シリーズの印象が強いが、若い頃から優れたサスペンス映画に結構出演している。

「白と黒」「けものみち」「首」「女の中にいる他人」などあるが、その中でも代表作中の代表作といえるのは本作ではないかと思う。

オープニング・クレジットが音楽なしで、ただタイプライターの音だけ流れて、スタッフやキャストの名前が打ち出されるのが渋くてカッコいい。

後半、事件は急展開をむかえ、段々と主人公が追い詰められていく過程が見応えあった。

なお脇役ながら、若き頃の小池朝雄さん(29歳)と児玉清さん(27歳)が出演しており、特に小池朝雄のまるで野獣のような演技が印象的だった。

■映画DATA==========================
監督:堀川弘通
脚本:橋本忍
製作:三輪礼二
音楽:池野成
撮影:中井朝一
公開:1960年3月13日(日)
Yasunori

Yasunoriの感想・評価

3.3
白黒ってだけで、ジリジリと迫り来る感じが緊張感キープさせます。その割にはストーリー自体にどんでん返しはなく、成るべくしてこうなったよね、っていうストーリー展開。驚きとか最後に真実がって言うんじゃなく、オーディエンスも答えをわかってて、そこにどうやって迫るのか、的なストーリー展開です。別に推理モノではないんですけどね。ウソをつくとその場合ボロが出まくるというお話です。クワバラ✖️2😝
n0701

n0701の感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

身から出た錆。

あるサラリーマンの男は部下の若い女と不倫し、ある日、女の住むアパートを出たところを男の家の近所の保険営業員の男と鉢合い、挨拶してすれ違う。

実はこの時、別の場所で連続殺人事件が起こり、不幸なことに殺された女が最後に出会ったのは、その保険営業員の男であった。

保険営業員の男は、自らの無実を立証するため偶然出会った近所の男に証言させようとするが、不倫の末の証言など出来る筈もない。

男は「保険営業員とは出会っていない。映画を見ていた。」と嘘の証言を喋り、事なきを得る。

残念かな保険営業員の男は有罪判決を受ける。

しかし、悪いことはできないものである。

嘘の証言を喋った男は、部下の女を別の家に引っ越すように言う。その引越し先のアパートには若い学生が居住しており、若い学生に女の不倫と男の勤務先、名前、役職まで全てバレてしまう。

女を脅し、数万円脅し取ろうとした学生は、女を通し、女の不倫相手であり、会社の上司から金を強請ろうとする。

男は金の都合をつけ、いざ渡そうとするが、約束の時間から30分少々遅刻して学生の家に着いてしまう。

すると、学生が殺されていたのである。

そこから足がつき、女の不倫、学生の強請り、サラリーマンの殺人が捜査の焦点となる。

そして、サラリーマンの嘘の証言が公になる。

彼は釈放される。

家庭も職も未来も失い、彼の望んだ安定とは程遠い結末を迎えることとなる。

最も、はじめから不倫をしていなければ良かった話ではあるが。
タマフル(TBSラジオ)で、宇多丸さんと春日太一さんの会話にちょっと出てきたのが、凄く気になってしまって借りて観ました。

=小さな嘘が人生の歯車を狂わせてしまう=

やはり時代性のためか、演出やストーリーの流れが結構あっさりしてましたが退屈はしなかったです。
現代だったら、もっと緊迫感のある撮り方とかするんだろうな〜なんて思いながら鑑賞しました。

それにしても原知佐子、男を狂わす“可愛い”色気がすごいです。
モノクロ映像も古いファッションも髪型だろうが凌駕してしまうオーラ。
先日観た『3月のライオン』の倉科カナに匹敵します(笑)
3月〜はそういう映画じゃないですが…

本筋とは関係なく面白かったのが、退社(丸の内)してパチンコしてビール飲んでから、愛人宅(西大久保)又は映画2本鑑賞。…からの帰宅(大田区 大森)って、高度経済成長期ってどんだけ時間があったんだ!?(笑)と、つい観ながら心の中で何度もツッコミました。
exryo1

exryo1の感想・評価

4.2
秘事隠蔽と保身のために、軽い気持ちで取り繕った小さな傷が、やがてじわじわと破綻の傷口が広がり、遂にどうにもならないほどの大きな傷となり我が身に返ってきて、全てを失う…。
一気に見て飽きさせないこの作り。良作と思います。

タイトルロールがものすごく斬新。
これはいまやってもいいかも。
そして、ギター一本の劇伴音楽がこれまた乾いたスリルを与えて、とてもよいです。
顔見知りのご近所さんのアリバイを証明できるのは自分しかいない。しかし、あの時間あの場所に自分がいたということを証言してしまったら、今度は自分の身に不都合が生じてしまう。

あの時間あの場所に自分がいたか、それだけのことなのだが、それが最後まで物語の核を成している。単純だが、飽きずに観られた。

良作。
監督が全て違うけど全て最高な黒い画集シリーズの第1作。しかし映画としての出来がシリーズ最高な分、個人的な愛着度はちょっと低いのが本作。

タイプ音のみの中、タイピングされていくオープニングクレジットからヌーベルバーグっぽくてかっこいい!と素直にシビれる。

橋本忍脚本なので主人公の気持ちがナレーションとなってだだ漏れするけど、本作の場合、それがリズムになっていて気にならない。

映画ばかり観ている主人公・小林桂樹はもちろん、脇のキャスティングも素晴らしく、中でも気弱く貧しい小市民を演じる織田政雄と、その妻の菅井きんは最高。泣きつくのはやり過ぎな感じもしたけど。
菅井きんは後の意地悪キャラよりも、貧しくて薄幸で世の中の隅っこの方で生きているようなキャラの方が絶対に上手い。前年(59年)の『七つ弾丸』も不幸が全身から放射されるような演技で最高だった。

とにかく二人のシーンは短いですが理想の夫婦像を垣間見ることが出来ます。

本編も誰が観てもつまんないはずのない鉄板サスペンスなので是非。
一般市民が運悪くひどい目に遭う映画なので、いたたまれなくて嫌な汗が出る。チンピラ役の小池朝雄が若い。
Frengers

Frengersの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 家庭と部下の愛人を持つ男の破綻を描いた物語。

 序盤で主人公は既に満たされている。役職、女、平穏な家庭と全てを手に入れている。それが知人の無罪を証明できる唯一の証言者として指名されたことで、つまり社会という第三者が関わる場に出ることで、個人の欲望を満たすためだけに生きることはできないことに直面する話でもあると思われる。自己弁護ばかりである小林桂樹演じる主人公のアリバイ証明のための証言が後半で反転し、冒頭で映る活気ある町の全景に、ラストシーンでは足音とモノローグで殺風景のなか放り出される様は舌を巻くばかり。

 社会的な生き物である人間の利己主義の限界を見た。
takandro

takandroの感想・評価

4.3
面白い…普通のサラリーマンがよく似合う小林桂樹が本当に良い。
これが95分!?よく出来すぎてる。1つの嘘が全てを終わらせてしまうんだな…1回嘘つくと最後の方は言い出せなくなっちゃうよね。。
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