黒い画集 あるサラリーマンの証言の作品情報・感想・評価

「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に投稿された感想・評価

わかるわかる。
大なり小なりこんな嘘を築きたい場面は腐るほどあるし、苦しむ主人公の気持ちや行動も痛いほどわかるのだ。
しかし、嘘をつくのに「映画をみた」は絶対に使っちゃ行けないし、深く聞かれたらクソ面倒なことになるうえに一人で行ったらアリバイにもならないので、軽々しくつかうべきじゃないということを教われる映画でした。
「あんたいつも映画見てる!」には爆笑。
社内不倫とか相手の部屋にノコノコ出入りしたり、忘れ物したり、この手の映画の愛人囲いは危ない橋渡りすぎだし脇甘すぎじゃないだろうか。と、毎回楽しんでしまう。
さよならの演出とてもよかった。
事の顛末も「あーあーあー。。」としか言えない展開。因果応報。
結局嘘で出来た歪みは嘘で塗りつぶすしかないし、連鎖してった先でかならず崩壊するんですね。
ラストの見た映画の場面説明と流れるギター、とてもよかった。名シーン。
今の自分の現実から逃げた先に、平穏なんかはありはしないのだ。


昔の東京駅ロータリー周辺、地下鉄新丸ビル口、新大久保の風景が観れるのもよし。
愛人がいる小林桂樹
家族に嘘笑いする小林桂樹
一人でブツブツ言う小林桂樹
ゴネる小林桂樹
慌てる小林桂樹
泣き言を言う小林桂樹
など
色んな小林桂樹らしさが見れるので、小林桂樹ファンにもたまらない一本。

めちゃくちゃ面白かったー
○ストーリーに意外性こそないが、昔の邦画に良く見られた教訓がはっきり描かれている。

○映画が話題に上る場面の対比が面白く、小林桂樹が観た映画のあらすじを必死に語る場面は名演。

○ラストで主人公を突き放すようなロングショットはドキッとさせられた。

○小林桂樹は当時の年齢、役の年齢からしても10歳以上老けて見える。
誰の心にもある、都合の悪いことを誤魔化したいという気持ち、小さな嘘をついてしまう弱さを描いた秀作。主要人物が皆、自分のした過ちの程度によって報いを受けるところに綺麗に着地させる展開は、さすが橋本忍のシナリオ。
scarface

scarfaceの感想・評価

3.8
この葛藤なんとなくわかる。みんな正直に生きられたらいいんだけど、嘘つかなきゃ生きていけない。ひとつの嘘はさらなる嘘を呼び、虚飾の人生が構築されていく。全て抛つか、虚に生きるか!橋本忍はやっぱりずっしり来ますね。
「どうして……どうしてこんなことに……」

授業や仕事をサボっている時に知ってる人にバッタリ会ってしまうことほど気まずいものはなく、しかも、それが自分の身を破滅させるほどの恐ろしい事態に発展したとしたら……。

小林桂樹主演の本作は、 松本清張の短編集「黒い画集」の一編を映画化した本作は、不倫相手である部下の家を訪ねたことで運命の歯車が狂ったサラリーマンが主人公。

ある夜、新大久保にある愛人宅から帰宅する途中、主人公は偶然、自宅近所に住む保険外交員と出くわす。

後日、主人公のもとへ警察が訪ねてくる。実はあの晩、向島で人妻が夫の留守中に殺されるという事件が発生しており、その容疑者として例の保険外交員が逮捕されたという。

犯行のあった時刻には、主人公が新大久保で遭遇しているから、この男が犯人でないのは明白。しかし、もしこの事実を証言すれば、自分が何故あの時刻に新大久保にいたのかが明るみに出てしまう。

やがて裁判が開かれ、外交員には死刑が求刑される中、果たして主人公は真実を語るのか、それとも……。

小林桂樹さんというと、テレ朝で放送していた2時間ドラマの牟田刑事官シリーズの印象が強いが、若い頃から優れたサスペンス映画に結構出演している。

「白と黒」「けものみち」「首」「女の中にいる他人」などあるが、その中でも代表作中の代表作といえるのは本作ではないかと思う。

オープニング・クレジットが音楽なしで、ただタイプライターの音だけ流れて、スタッフやキャストの名前が打ち出されるのが渋くてカッコいい。

後半、事件は急展開をむかえ、段々と主人公が追い詰められていく過程が見応えあった。

なお脇役ながら、若き頃の小池朝雄さん(29歳)と児玉清さん(27歳)が出演しており、特に小池朝雄のまるで野獣のような演技が印象的だった。

■映画DATA==========================
監督:堀川弘通
脚本:橋本忍
製作:三輪礼二
音楽:池野成
撮影:中井朝一
公開:1960年3月13日(日)
Yasunori

Yasunoriの感想・評価

3.3
白黒ってだけで、ジリジリと迫り来る感じが緊張感キープさせます。その割にはストーリー自体にどんでん返しはなく、成るべくしてこうなったよね、っていうストーリー展開。驚きとか最後に真実がって言うんじゃなく、オーディエンスも答えをわかってて、そこにどうやって迫るのか、的なストーリー展開です。別に推理モノではないんですけどね。ウソをつくとその場合ボロが出まくるというお話です。クワバラ✖️2😝
n0701

n0701の感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

身から出た錆。

あるサラリーマンの男は部下の若い女と不倫し、ある日、女の住むアパートを出たところを男の家の近所の保険営業員の男と鉢合い、挨拶してすれ違う。

実はこの時、別の場所で連続殺人事件が起こり、不幸なことに殺された女が最後に出会ったのは、その保険営業員の男であった。

保険営業員の男は、自らの無実を立証するため偶然出会った近所の男に証言させようとするが、不倫の末の証言など出来る筈もない。

男は「保険営業員とは出会っていない。映画を見ていた。」と嘘の証言を喋り、事なきを得る。

残念かな保険営業員の男は有罪判決を受ける。

しかし、悪いことはできないものである。

嘘の証言を喋った男は、部下の女を別の家に引っ越すように言う。その引越し先のアパートには若い学生が居住しており、若い学生に女の不倫と男の勤務先、名前、役職まで全てバレてしまう。

女を脅し、数万円脅し取ろうとした学生は、女を通し、女の不倫相手であり、会社の上司から金を強請ろうとする。

男は金の都合をつけ、いざ渡そうとするが、約束の時間から30分少々遅刻して学生の家に着いてしまう。

すると、学生が殺されていたのである。

そこから足がつき、女の不倫、学生の強請り、サラリーマンの殺人が捜査の焦点となる。

そして、サラリーマンの嘘の証言が公になる。

彼は釈放される。

家庭も職も未来も失い、彼の望んだ安定とは程遠い結末を迎えることとなる。

最も、はじめから不倫をしていなければ良かった話ではあるが。
タマフル(TBSラジオ)で、宇多丸さんと春日太一さんの会話にちょっと出てきたのが、凄く気になってしまって借りて観ました。

=小さな嘘が人生の歯車を狂わせてしまう=

やはり時代性のためか、演出やストーリーの流れが結構あっさりしてましたが退屈はしなかったです。
現代だったら、もっと緊迫感のある撮り方とかするんだろうな〜なんて思いながら鑑賞しました。

それにしても原知佐子、男を狂わす“可愛い”色気がすごいです。
モノクロ映像も古いファッションも髪型だろうが凌駕してしまうオーラ。
先日観た『3月のライオン』の倉科カナに匹敵します(笑)
3月〜はそういう映画じゃないですが…

本筋とは関係なく面白かったのが、退社(丸の内)してパチンコしてビール飲んでから、愛人宅(西大久保)又は映画2本鑑賞。…からの帰宅(大田区 大森)って、高度経済成長期ってどんだけ時間があったんだ!?(笑)と、つい観ながら心の中で何度もツッコミました。
exryo1

exryo1の感想・評価

4.2
秘事隠蔽と保身のために、軽い気持ちで取り繕った小さな傷が、やがてじわじわと破綻の傷口が広がり、遂にどうにもならないほどの大きな傷となり我が身に返ってきて、全てを失う…。
一気に見て飽きさせないこの作り。良作と思います。

タイトルロールがものすごく斬新。
これはいまやってもいいかも。
そして、ギター一本の劇伴音楽がこれまた乾いたスリルを与えて、とてもよいです。
顔見知りのご近所さんのアリバイを証明できるのは自分しかいない。しかし、あの時間あの場所に自分がいたということを証言してしまったら、今度は自分の身に不都合が生じてしまう。

あの時間あの場所に自分がいたか、それだけのことなのだが、それが最後まで物語の核を成している。単純だが、飽きずに観られた。

良作。
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