佐藤克巳

キューポラのある街の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

キューポラのある街(1962年製作の映画)
3.5
浦山桐郎監督のデヴュー作にして吉永小百合の出世作で青春映画の勿論佳作だが、皮肉にも修学旅行に行った同年「若い人」には及ばない。この映画の佳境は、川口駅前の在日朝鮮人帰還事業の涙の見送りシーンとなるが、悲劇のヨシエとサンキチの日本人母菅井きんだけは無事で良かったという印象と、メディアの嘘報道と続編を含めた本作品の罪は重いと思う。終盤は民青推奨みたいになって不快だが、浜田光夫の相手役に過ぎなかった吉永の聡明で初々しい美しさは生涯群を抜く。弟市川好郎等子供達や同級生達の生き生きとした助演が本作で一番効果的で、その中で一瞬岡田可愛を見つけたのが収穫だった。
佐藤克巳

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