キモサベ

キューポラのある街のキモサベのレビュー・感想・評価

キューポラのある街(1962年製作の映画)
3.5
川口=鋳物は存じていましたが、“キューポラ”が煙突のこととは・・・自分にとって映画は時に社会の先生でもあります

1962年の作品ですかぁ
でも、吉永小百合世代の人にとっては、この映画でキューポラが何のことだか知った人、多いはずです、絶対

脚本に今村昌平の名前を見つけました 時代を感じます
それと年を経てから、こうした名作を観るにつけ思うのが、菅井きんとか、吉行和子といった女優さん・・・ほんとあちこちでお目にかかります
役者さんそのものが歴史的“文化”遺産…です

そして、主演の吉永小百合
調べると、本作でしっかり者の中学生、長女ジュンの役でブルーリボン賞(主演女優)を獲得、映画に歌にスターの道を歩み始めることとなります

遅くなりました 感想です
今(2023年12月)となっては、古典的(…は言い過ぎか)日本映画を観て、あれこれ書こうとしている自分が恥ずかしいのですが、正直言って浜田・吉永のコンビによる、明るく楽しい青春ドラマ程度に思っていたんです
ところがどっこい、ガチもガチの社会派ドラマでありました

中小企業の林立する町川口にスポットを当てたこと
父親の勤める鋳物工場における雇用、解雇の問題
及んで、労働組合での退職金や労災事故の交渉
長女(女子中学生!)が、家計のためパチンコ屋で“闇”?バイト
どころか、小学生が泥棒(クズ鉄の横流し)の片棒かつぎ
弟の在日朝鮮人家族との交流
また、これら子どもたちの“たくましさ”
90分かそこらの尺に、よくこれだけの世相をぶちこんだなぁと、これには、驚きを越してかなりの衝撃を受けましたです、はい

劇中で川口市役所の庁舎に大きく掲げられている横断幕に『すくすくと明るくのびよう青少年』のショットが映ります
監督さんが描きたかったのは“これ”・・・上質の風刺劇でした
なんと言ってもこの映画、大人たちに対して物言いが出来る中学生の姉と小学生の弟に軍配が上がります

【発見】
学芸会(死語かな?)の主役をやってた女の子
岡田可愛です 
あの「サインはV」のですよ・・・わかんなくっていいです
本作が映画デビューだったようです
キモサベ

キモサベ