冬めく

ダウト 〜あるカトリック学校で〜の冬めくのレビュー・感想・評価

4.0
決して宗教色が濃いわけではなく、どんなコミュニティの中でも起こりうる事を描いた作品です。タイトルであるダウトは直接的には「神父による少年への性的虐待」疑惑を指してることになりますが、それが事実かどうかを暴くことが映画のポイントではなく、その疑惑がもたらす人間関係の亀裂や登場人物たちが抱える葛藤などに目線が置かれている良作でした。

さて、
宗教色の濃い作品ではないと最初に書きましたが、とはいえ舞台はカトリックの学校です。なので疑惑に翻弄される登場人物たちにはそれぞれ信仰心がありそれを前提とする会話劇であるため宗教と無関係ではありません。

信仰心は人を強くします。自己を深く見つめさせ判断の難しい状況下でどのように行動すべきかに迷いを生じさせません。ですが一方で心の支えとしての存在が大きすぎて人を盲目的にしてしまう場合があるのです。強い信念の元に起こす行動の中には行き過ぎた正義感から来るものも多く、宗教というものを複雑怪奇なものに見せている要因のひとつだと思われます。

最後に、
そんなコミュニティの人達を演じる俳優陣が素晴らしくて、何人か言及したくなりました。疑惑の神父をフィリップ・シーモア・ホフマンが演じる他、最初に神父に疑いをかける若い教師にエイミー・アダムス。神父を厳しく追及する校長にメリル・ストリープ。性的虐待を受けたとされる少年の母親にヴィオラ・デイヴィス。実力派俳優たちの織りなす倫理観のぶつかり合いは静かな迫力に満ちていました。

そしてラストに見せるある人物の涙は、タイトルである「ダウト」は実はもっと大きなことへの疑いを指しているのでは?と思わせ、深い余韻を残します。
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