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ハウルの動く城のshowのネタバレレビュー・内容・結末

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

◆ソフィーは、私たちではない

この映画の物語には、わからないことだらけである。戦争はどことどこが戦っているのか。ハウルは何と戦っていちいちボロボロになっているのか。最後ソフィーの呪いはどうして解けるのか。

でも、たぶんそれでいいのである。観客には説明されないけど、ソフィーは多分どこが戦争をやっているか知っている。呪いもなぜか解けるが、本人からすれば解けたんだから「なんだかわかんないけどラッキー!」てな具合でそれでいいのだろう。ソフィーはハウルの無事が心配だから、ハウルがどこで戦っていようと(ハウルが話さなければ)それで納得する(多分)。

つまり、物語の主人公(ソフィー)は、私たちではない、のである。ソフィー=観客(私たち)であれば、ソフィーが知っていることを私たちが知っていなければ気持ち悪い。

でも、ソフィーは私たちではないのだから、ソフィーが知っていることはいちいち観客(私たち)に説明されない。私たちだって、普段生きているときに、「観客」が居ることを想定して、世界のことを誰ともなく説明したりしないだろう。それと同じことだ。誰かに聞かれて答えるとかそういうことはあるが、そういうきっかけがなければ話したりしない。この映画でソフィーが描かれている時間に、そういう時間がなかった、ということなんだろう。

「いやこれは映画なんだから、映画の文法に従って観客に説明すべきである」というのは一つの意見としてわかる。だけど、この映画はそのやり方を取らなかった。それもまたひとつのあり方なのだ。映画的しきたりを外す不調法を憤るのは、野暮ってものなんじゃないかい?
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