まじさん

ハウルの動く城のまじさんのレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
1.0
ドラマにはセオリーがある。 例えば、ドラマの中で手紙が出たら、ドラマが終わる前に、その手紙は読まれなければならない。又は、内容を推測できるヒントが出てくるものだ。または、戦場で兵士が「国に帰ったら結婚する」とか言ったら、その兵士は死ぬのである。 それと同様に、主役メカに大砲があれば、それは撃つシーンがあるべきである。城のデザインが発表された時、久々に心を熱くした。そうか!これが戦うのか!リベットで覆われた、いかつい顔に、居住区と砲台。そして機動性の良さそうな脚。まさに動く城!それは動く要塞。戦う兵器だ。戦場を動き回り、残骸を踏みつけ、火の海を歩き、通った後には草木も生えない。これが動く城だ。 飛び出した目の様な主砲からは、目玉模様が描かれた弾が発射される筈なのだ!そして口を開けば、世界が終わる「光る何か!」が放たれるのである!今、まさに撃たんとするその時!両腕を大きく広げたソフィーが止める!「ハウル!撃っちゃダメ!」でも撃っちゃう!! …って、そんな熱い話が観たかった。 だが、その動く城は、ただの一発も撃たない。その能力を指し示すエピソードもない。それどころか戦場にすら行かない。ぬるい。どこかで戦争あっても、ひたすらぬるい話が続く。 あの砲台は飾りかぁ!!と、声を大にしてツッコミたい。そして偉い人の「そろそろやめましょうか♪」の一言で、どうやら戦争が終わるのである。原作?そんなもんどーでもいい。ただ、熱い話が観たかった。ハウルのソレは、城ではなかった。『ハウルの歩くだけの家』と言うタイトルにして頂きたかった。 声優もヒドイ。木村拓哉は棒読みだし、倍賞千恵子も無理矢理な声を作って演じてる。映画には映画、舞台には舞台、声には声のプロがいるのだから、素人にやらせる事はないでしょ。こういった、ヒドイ客寄せパンダのキャスティングは、鈴木敏夫氏の責任だ。彼がいる限り、ジフリに傑作は生まれないだろう。