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Mr.BOO!インベーダー作戦のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.BOO!インベーダー作戦(1978年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

TV局の専属タレントのチーマンは、入社以来ロクな仕事がない。そんな中、彼に他社からの移籍の話が舞い込んできた。是非とも契約したい彼だが、今のTV局はなかなか契約破棄を認めてくれない。そこで発明狂の弟チーイン、新人マジシャンのサイギッと手を組んで契約書を盗み出す計画を立てるのだが....。

邦題のインベーダー作戦は主人公が着た宇宙人風衣装からの強引なこじつけ。
インベーダーなんて出てこない(笑)。
TV局によるがんじがらめの専属契約問題をテーマにしたドタバタコメディの佳作。
日本ではMr.Booシリーズと銘打って公開していったホイ兄弟の大ヒットコメディ作品群の第2作。
前作とは話の全く繋がりはないため、予備知識なしでも安心して楽しめる。

前半は売れないタレント、独立できない新人マジシャン、誰も認めてくれない発明家と、成功したい人物たちの庶民的な苦労がドタバタで展開される。
新人マジシャンのサイギッと師匠のマジックを使った奇想天外な喧嘩、チーマン兄弟のビル屋上からのTV局侵入、生放送番組への乱入が、後半に別の形でエスカレートして繰り返される天丼の笑いの構成が素晴らしい。

本作はブラックなテイストが多く、(日本もかつてそうだったが)ウケて視聴率が得られるためなら下品だろうが残酷だろうが、何でもする当時のTV局の姿勢を痛烈に批判している。

視聴率が悪くなるとプロデューサーはクビになるだけでなく、飛び降り自殺させられて重役たちがそれを見物するといったシーンや、チーマンが司会に抜擢された視聴者参加クイズ番組で、賞金をランクUPさせるために、参加した主婦が大金に目が眩んで愛犬や病人の夫の命を生け贄に差し出すシーンなど、現在のコンプライアンス重視の世の中では絶対に表現できないブラックさは見ものである。

後半は契約書を盗み出そうとするが、プロデューサーのボディガードの鉄の爪とナイフ使いに見つかり、延々と鬼ごっこ。
縦横無尽に街中を駆け巡り、高所に引っかかったり、タイヤに入って階段を転げ落ちたりと無声映画時代のハロルド・ロイドやバスター・キートンのよう。
クライマックスは追われてTV局の生放送番組に乱入し、番組をぶち壊していく様子が、チープなハリボテセットと相まってドリフターズのコントのようだ。
畳み掛けるように連続するギャグがおかしくて仕方ない。

乱入のアクシデントが大ウケし、番組を作ってくれと3人はTV局のプロデューサーになってしまう。
3人がまともな職にありついたのは良いのだが、もしコケたら自殺させられるのでは?と一抹の不安を残すのもブラックな味わいのエンディング。

エンディングのテーマ曲が「生活は苦しいけど、全ては子どものため」と歌うのが、なぜか染みる。
ホイ兄弟の作品は、いつも貧乏人の奮闘を描き、庶民の味方だというのが嬉しくなる。
身体を張ったギャグに笑いながらボーッと見ているのもOK、ブラックな笑いにツッコミを入れるのもOK。
香港製でなくても良いのだが、こんな風に誰でも単純に笑えるコメディが現在は作られていないなぁ…と懐かしくもあり、少し寂しくなった。
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