すぎ

BOX 袴田事件 命とはのすぎのレビュー・感想・評価

BOX 袴田事件 命とは(2010年製作の映画)
4.0
「正義って何なんだろう」
という着地点のない疑問について考えてた2015年の鑑賞映画③

ディス フィルム イズ ベースドオンアトゥルーストオーリーーーー
この映画は袴田さんの事件について、死刑判決を下した判事側の視点で描いたもの。
警察、検察、裁判の不正義により出た被害者の存在を伝えている。

判事・熊本典道は、
「袴田は罪を犯していない」
と分かりつつ、自分の手で彼に判決を下してしまう。
この裁いた側の、心の蝕まれようが凄まじく、後に彼の潔白を晴らすための活動にのめり込む。

袴田さんの潔白を拭う事はもちろんだが、
正義を思って就いた職で不正義を行ってしまった自分の泥を拭うかのよう。

被害者の痛みよりも、裁いた側の痛みが強く心に残るのだ。

そして強制的な自白のために、汚い手を使う警察検察の態度が酷く、本当にこんな非道な事をしたのかと疑問に残る。

精神的・肉体的暴力を加える様子が当時の状況を明確に再現していたのなら、恐ろしい。

警察など、一般社会において正義という“印”をつける事が許された者が、いつの間にか感覚が麻痺し、自分の行い全てが正義だと勘違いする様子はとてもタチが悪い。

「俺の考えが正しい!正義は俺が1番知っている!悪い事をしたら、証拠がなくたってとっちめてやるぜ!!!」

という傲りの塊になっている姿は恐怖そのものだった。
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