とぽとぽ

モード家の一夜のとぽとぽのレビュー・感想・評価

モード家の一夜(1968年製作の映画)
4.0
教訓 : はっきりしない人は嫌い
人に歴史あり!"聖人であれ我々と同じ人間"

金髪でカトリック……見かけた女性を探し回る(一目惚れだけど平たく言えばナンパ)『モンソーのパン屋の女の子』に始まり、今までの作品の要素も重なる、頭をよぎる。お得意のモテる自慢する男たち、向こうらしい。信心深い男と自由な女、知り合いの知り合い。
見てろ、きっと何かが起きる。いわゆる恋愛映画というよりも(毎度ながら)"愛"についてのマスタークラスの映画だった。意中の人が別にいながらも惹かれていくさまを軽妙な会話と美しいモノクロ撮影で描き出すエリック・ロメールらしい作品。彼はいつも人間のあやふやなモラルの曖昧さについて扱う。同類相憐れむような本作でも宗教観や恋愛観そして人生観、多岐にわたる会話。そんな互いの考え方をぶつける小難しい話と、自ら紹介しておきながら拗ねてフェードアウトする友人・大学の教授ヴィダル?10%のチャンスに賭けるべきか?信仰心と過去の女性関係は関係ない?口では一人と一生を添い遂げるもので不倫など分からないみたいな感じで、散々一途を説きながら、実際見ていると分かるように揺れ動くのが面白い愛についての実験・検証。"愛"とまではいかないまでも好意は移ろいやすいものなのか。男の思考は単純で男女関係は複雑で、込み入った話もそれぞれの過去もある。タイトル同様ものすごく魅惑的な世界観や設定、そして内実をこれでもかと堪能した。
ヴィダル、お前か!いい口実がないけど君と知り合いたい、主義を重んじすぎて機会を逃したくない。雪が降ってるし道は凍ってるから気をつけて。あなたは愛情よりも主義を選ぶのね、それがあなたの選択。もう遅いわ、部屋に案内する。君のことを昔から知っていた気がする。そして時の経過…最後の火遊び、運命の悪戯。不都合なことには時に蓋をしよう。ということで時が傷を癒やすかはさておき万々歳!? デート映画としても、夜見るのにぴったりな映画。

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改宗の真偽と無神論
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