ペイン

ヘンリーのペインのレビュー・感想・評価

ヘンリー(1986年製作の映画)
4.7
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の“ヨンドゥ”でお馴染み、ジェームズ・ガン監督作品常連俳優マイケル・ルーカーの映画デビュー作にして初主演作。


今やシリアルキラー映画のクラシックと化しているような作品で、昨今の“一見”奇抜なシリアルキラーものを見慣れている現代人の目からは、“一見”地味で単調に感じる作りにはなってはいる。ただ、そのちょっと“普通”に見えてしまうところが実はこの映画のうすらヤバさを物語っている辺りでもあったりする(※しれ~っと終わるあの末恐ろしいエンディングも込みで)。


殺人が我々の食事や睡眠の如く、ごくごく日常の習慣と化しているような主人公ヘンリー・リー・ルーカス。そんな彼や彼を取り巻く男女2人の三角関係など、ある種の青春映画にも思えてくる(※ビデオカメラを使って楽しそうに殺人の記録をする姿など)。


ヘンリーと“良い感じ”になる相棒オーティスの妹ベッキーとの会話で、ヘンリーが最初は冷静に母親を“刺し殺した”と供述したのに、話が進みむにつれ今度は“撃ち殺したんだ!”などと興奮気味に打ち明け、供述が二転三転変わるシーンはマイケル・ルーカーの凄まじく実在感ある佇まいも相まって“マジでこいつヤベェ”と震えた。


シンセサイザーの使い方や、犯行を見せずに想像を掻き立てる演出も凄く気が利いている。ヘンリーとオーティスによる襲撃・暴行シーンは、この映画をフェイバリットに選ぶS・クレイグ・ザラー作品の如く突発的でゴロンと投げ出されるような呆気なさがある。


『アングスト/不安』や『ザ・バニシング -消失-』、『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』らと並び、私のお気に入りシリアルキラー映画となりました。
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