◆あらすじ◆
アフリカのマトボ共和国生まれでクー族の言葉を理解するシルヴィアは国際連合の通訳として働いていた。マトボ共和国の大統領のズワーニは力で国内を制圧し、世界的に非難されており、そのため、国際連合の会議に出席して演説する予定になっていた。シルヴィアは忘れ物を取りに行った会場でズワーニの暗殺計画を聞いてしまう。シルヴィアは自身の警護を依頼したところ、シークレット・サービスのトビン・ケラーが会いに来るが、シルヴィアに疑いをかける。
◆感想◆
大統領暗殺計画を知ってしまったシルヴィアが謎の集団に狙われるというストーリーの軸がハッキリしていて分かりやすく、それでいてシルヴィアがマトボ共和国生まれで彼女の過去がそのストーリーに上手く波紋をもたらす展開は、緩急が上手くついていて面白かったです。
シルヴィア・ブルーム(ニコール・キッドマン)はマトボ共和国出身でその国の言葉を理解すること以外、不明な状態でストーリーが始まっていきます。外見上、とても明るく快活な感じがして疑う要素が何一つなかったです。しかし、警護に当たるトビン・ケラー(ショーン・ペン)が彼女を疑い始めたことで彼女の過去に対する興味が上手く惹起されて、ストーリーに幅が生まれていました。
一方、トビン・ケラーはシークレット・サービスのリーダーですが、妻子を交通事故で失ったばかりで心に傷を持った人物として描かれています。しかし、仕事上ではあくまでフラットな視点に立ち、シルヴィアを疑うとともに保護すべき対象かどうかを品定めしている感じがあって、職人のような雰囲気を醸し出していました。
暗殺計画の対象となるマトボ共和国のズワーニ大統領は批判的な人物を殺害して排除を続ける独裁者として最初に描かれますが、彼の本質的な部分は一切描かれていません。そこがストーリー上、犯人が誰なのかを分かりにくくしており、面白いところだと思いました。
ストーリーが進むにつれて、シルヴィアの行くところに事件が次々と発生し、人が殺されていきます。この流れが非常にスリリングで最後まで興味を上手く持っていてくれました。
とても面白かったと思います。心に傷を持つ2人の心情が上手く伝わってくる作品でした。
鑑賞日:2023年11月21日
鑑賞方法:Amazon Prime Video