「細雪」
冒頭、駅から歩く女性。
四人姉妹、暴風雨で家が破壊、土砂災害、男女の愚痴喧嘩、レコード、暮色美しき海。
着物姿で歩く女性たち、裏通り、病気、入院、滝、生活の波と戦う彼女達の物語が始まる…
本作は今迄に三度映画化された谷崎 潤一郎の小説を島 耕二が映画化し、
豪華な女優四人を迎え監督した二度目の細雪である。
個人的にはやはり市川崑版が好きだが、本作も非常映像美良く好き。
さて物語は強い姉妹愛で育ってきた鶴子、幸子、雪子、妙子。それぞれの運命を優しさ溢れるタッチで描く。
いや〜映画とは思えない泥の波が民家を直撃し、崩壊するシークエンスは一種のディザスター系映画だ。
このシーンにどれだけ金が使われた事か…。
この映画ロングショットが美して、例えば夕陽が照らす海辺を歩く二人の女性を捉えた場面や建物の外で会話する場合など…
また女優の横顔の捉え方、衣装、台詞が品があり、着物姿、洋服姿ともに魅力がある。
また障子の隙間から雪が降る描写を捉えるラストは素晴らしい。
正に国宝的名作の異名を持つ…
京マチ子を始めとする女優らの絢爛な衣装、化粧、慎ましく美しく…
細雪の如く綺麗な彼女らの風貌と芝居が素晴らしい。
音を立てず天から降り注ぐ真白な細雪。
それを手の平で受け止めて、自らの運命に従う様な葛藤は見事である。
昭和の女優は本当美人。