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プリティ・ウーマンの雑記猫のレビュー・感想・評価

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)
2.5
 実業家のエドワードは仕事で訪れていたビバリーヒルズで道に迷っていたところ、偶然に娼婦のヴィヴィアンと出会う。ヴィヴィアンに興味を持ったエドワードは、1週間の契約で彼女をホテルの自室に住まわせ、トップレディへと仕立てていく。最初は一時の関係と割り切っていた二人だったが、生活を共にするうちに徐々に惹かれ始める。


 冷徹で傲慢だった実業家の男と貧しく社会性の乏しかった女が出会い惹かれ合うことで、男は人間味を女は社会性を獲得し、最後には結ばれるというのが本作のおおまかなプロットなのだが、このプロットに作中の心情描写が伴っているかというとそうでもないという印象。エドワードとヴィヴィアンが互いのどこに惹かれていったのか、観進めていっても最後までいまいちピンと来ないし(エドワードには莫大な財産と社会的地位、ヴィヴィアンには若さと美貌という強力な武器があるという身も蓋もない見方もできるが……)、社会的立場の違いという中盤以降、2人の間に立ちはだかる大きな問題も、ラストカットで勢いで押し切ってしまう。どちらかと言うと、ハイソサエティな人々から蔑まれる娼婦ヴィヴィアンが、トップレディへと登っていく展開の痛快さから、愛やらなんやらよりも、金の力の大きさを強烈に感じる作品となっている。ただ、それにも関わらず、最後まで観るとなんとなく良い映画だったような気になるのは、主演のリチャード・ギアとジュリア・ロバーツの抜群のオーラによるところだろう。特にジュリア・ロバーツの、セクシーだけれどもケバくてあまり品の良い感じのしない序盤の姿から、社交界のレディ然とした高貴で品の良い感じの中盤以降への姿への変貌は圧巻である。
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