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ティファニーで朝食をのnoyのレビュー・感想・評価

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)
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少し物悲しさがあって良かった。
万引きとか今見るとどうかと思うし、何より日本人の表現が差別的でげっそりするが、それはともかくホリーのキャラクター描写がとても良かった。
彼はあの時はホリーを留めることに成功したが、きっといつかホリーは彼の腕をすり抜けて行ってしまうし、そういう彼女を変えることは誰にもできないのだ。しかしだからこそあの日ほんのひと時でも彼の側に留まることを彼女が選んだ事実が宝石みたいな輝きを持つんだと思う。
ホリーゴライトリーを誰も変えることが出来ないことが悲しくて、そしてなにより価値のあることだと思う。

そういえば「ティファニーで朝食を」というタイトルから感じるキラキラして華やかなイメージと実際の朝食シーンがかけ離れていて「おっ」となった。
素っ気ない灰色の歩道で立ち食いしているのがぜんぜん美味しそうでも幸せそうでもなくて、彼女の人生が皆や彼女自身が夢想するほど美しくもキラキラしてもいない、灰色の道に立って入れない建物の中を覗き込みながら立ち食いするようなものであることを示しているように思えてそこが良かった。
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