ペンバートン

ブルーバレンタインのペンバートンのレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
4.3
ロマンチストなディーンとリアリストのシンディ。共に家族を想うものの自らの理想ばかり見て盲目的になってしまうディーンと、彼に不満を抱えるシンディがすれ違う様子が痛々しいほど切ない作品。

馴れ初めから終わりまでを追っていくが、2人を繋いだ愛情は、時間変化とともに結婚や家族の枠組みの中で責任へと変容し、愛の残滓しか残らないのが残酷だなあと強く思わされる。ディーンがシンディに送った、暖かな空間と愛や幸福の象徴としての曲も、無機質なホテルの一室で、音楽的記号として流れ行くだけになってしまうのが悲しい。

過去と現在で、2人の服装の色味が赤をはじめとした暖色系から青や紫などの寒色系に変わったような気がして、それもまた演出なのかなあ、と思ったりした。また、その時間変化をライアンの髪や映像のざらつきなんかで表すのも面白かった。