Sashiwo

こうのとり、たちずさんでのSashiwoのネタバレレビュー・内容・結末

こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

『シテール島への旅』は少し構成やストーリーが複雑で難しかったが、こちらの作品はどちらかというと『霧の中の風景』に近く、分かりやすいストーリーに沿って「国境とは何か」について描かれていく。

「月が死んでほしいと思った」という、移民の声が挿入されるシーンがあまりにも強烈だった。「夜に国境を越えるとき月の光が僕たちを照らすからだ。兵隊に見つかればすぐに死がやって来る」
月に死んでほしいというのはあまりにも悲しいポエジー。この表現には嘘がなく、破壊力があった。そこまでして国境を越えるのには理由があるはずだし、何よりも生きる希望として危険を犯している人のことばは耳に刺さった。

『霧の中の風景』に匹敵する素晴らしい作品だった。音楽の使い方が相変わらず悲痛だった。Let it be...Let it be...
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