こうのとり、たちずさんでの作品情報・感想・評価

「こうのとり、たちずさんで」に投稿された感想・評価

Mitsunoir

Mitsunoirの感想・評価

4.6
監督自身はこの映画のテーマを追放と語っている。まぁその辺にはあまり踏み込むつもりはなくて、とにかくあの長回しでのトラッキング、パン、ズームとか撮影が本当に感動的。全体的にセリフは少なく会話のシーンで人物によるようなことはしない。
私たちは何か人物の感情や特定の状況とか言ったものに突き動かされるのでなく、カットを割らずパンやトラッキングで一つの連続した空間として現前したあの世界そのものが放つ生々しさに他ならない。そしてあの構図。情動とかカット繋ぎとかで効率的な見せ方をしてるのでなく、あの空間の中をさまようように時間的重さとともに何かに出会う。なんでこんなことができてしまうのか。話の意味が対してわかってるわけでもないのにラストのカットは泣きそうになった。
いや、いいのだが悪い時のルベツキ的カメラワークが散見される
ラストカットはもちろん大好きです
ダンスシーンはどれもいいしラストとか主人公が橋を走るシーンもいい。
河と橋の使い方が上手い。
hk

hkの感想・評価

-
大体見てきたけど、アンゲロプロスは本当に、移動物ばっかりだね。
「アレクサンダー大王」くらいかも、ずっとおんなじ場所から動かないのは。
ryom

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4.0
あの結婚式シーン後、婿がいる事が分かったディレクターの、夜の橋のドリー疾走シーンも好き。
海

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4.7
国境。追放。愛と生と死と。
愛という言葉で語るのも野暮に感じてしまうほど、洗練されたひとびとの果てしない感情。言葉のない場面ばかりに、心をつかまれてしまっていた。

国境も追放も本当の意味で理解しようとしても 難しいことだった。私はあんなにはっきりと、線で作られた国境を知らないし、アンゲロプロスがほかの映画にも何度も登場させる「黄色いレインコートの人たち」も、教わるまでどんなひとたちなのか知らなかった。
それでも、結婚式のシーンもラストシーンも、言葉のないのに こんなに確かな想いを伝える。
悲しみ。苦しみ。強い意志。それは言葉や瞳でもなく、ひとびとの佇まいにだけ表れる。
絶対に忘れられないだろう場面は幾つもあって、そのすべてが 武装した理論なんかじゃなく 生まれたままの肌色の感情を 同時に刻んでいるんだろうな。

ビートルズの「レット・イット・ビー」を歌う場面は温かくて大好きだったし 藁や凧についてお話をする場面も大好きだった。そこに国境はなかった。人々を隔てるものなんて何一つなかった。


いつか、う〜ん あと十年とか もっと、大人になった時、もう一度この映画を観たいなと思う。「ユリシーズの瞳」もそうだし、「エレニの旅」もそう、もっとたくさん生きたその時に もう一度この映画に帰ってこられたら 今よりも近づける気がします。

静かで言葉のない世界。ぽつりぽつりと溢される言葉は 言葉以上の感情を孕んで
この静けさと饒舌さが胸を打って とても好きだなあとやっぱり思った。

2018/4/6

久しぶりにアンゲロプロス監督の映画を観た。「永遠の一日」がほんとうに毎日のように思い返すような大好きで大切に感じる映画になってくれて、一本ずつゆっくり、全部観れたらいいなあと思っています。何せ長いので なかなか「よし今週は!」って勇気が出ないけど、ゆっくり観ていくのがとっても合っているなあとも思います。
そしてこの映画で実ははじめて、「黄色いレインコートの人たち」の正体を知った。何回か観たから何なんだろうと思ってたけれど、ああそうだったんだ。もう一度、「永遠と一日」も絶対に観なくちゃなあと思った。
私が今まで観た作品の中では、これほど「国境」というテーマを鮮明に映し出したものはありません。島国に住む我々としては、陸繋がりの国境が如何に複雑なものなのかを教えられます。本作では、その国境を越えて命懸けでギリシャに入国した人々の苦悩と悲しみが描写されてます。
冒頭、主人公のテレビ局のスタッフが軍部の大佐に国境警備についてインタビューをします。その時の大佐がこうのとりが片足で立つがように、国境を一歩越えれば苦難か銃殺が待ってると言うところに「国境」のテーマを最初から明確にしてるところは私は気に入ってます。それから話しは主人公たちが偶然撮影した映像から一昔前に失踪した政治家であることを割り出して、その男の取材することで進んでいきます。
それからは重みのシーンが続きます。政治家の元妻は夫に会っても「彼ではない。」と…。政治家の娘は国境で渡れない河を挟んで結婚式でこの先会えないかもされない新郎と永遠の会いを誓ったりと…。万感の想いを込めて果たした再会や望んだ結婚式は訣別を告げるようだったのが切なすぎました。そこには祖国を捨てたことの重さが凝縮されてました。
そして迎えるラストシーン は、電線工事で電柱に登る人々の統一性が見事であります。この電線工事は難民の人々が就いてる仕事で、劇中でも紹介されてます。難民たちが電信柱に登る姿は、こうのとりが空を飛び立つこと喩えてるようでした。
冒頭とラストのきめ方がアンゲロプロス監督らしい☆この監督さんの作品は人物よりストーリーが主人公なんだと改めて思いました。
saeta

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4.1
手持ちのDVDボックスからの久々の鑑賞。

絡みは多くは無かったが、アントニオーニの「夜」のコンビが再共演。

改めて鑑賞すると、会話のない川を挟んでの結婚式の長回しのシーンに目を奪われてしまった。

アンゲロプロス映画でお馴染みの黄色い雨合羽の人達が電線を張るラストシーンも美しかった。

やはりアンゲロプロスは曇天で無いと。
Zuidou

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3.7
『追放』をテーマに国境の街で繰り広げられる静かな物語。アンゲロプロス流『ノスタルジア』だった。苦手意識のある監督だったけどこれは不思議とすんなり観ることが出来た。「あといくつ国境を越えれば、家に帰れるのか」というセリフが明示しているのは現実的な国境だけじゃなくあらゆる場所に潜む精神的な隔たりのことでもあるのだろうことを思うと、島国で比較的のほほんと育ってきた自分にも他人事ではなかった。
Osamu

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3.8
難解。哲学的。

ギリシャ国境の町、人間の物語。

国境とは何か。国家に守られながら、そのルールから人間がはみ出すのが必然ならば、その時、我々はどこに向かえばよいのだろう。国境の向こう側からやって来る人たちが、こちら側のルールからはみ出すのならば、その時、我々はどう振る舞うべきなのだろう。

映像が美しいんだろうけど、難解でそこまで気が回らなかったよ。
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