ユウサク

ウォーターメロン・ウーマンのユウサクのレビュー・感想・評価

4.3
ノーマルスクリーン企画、藝大の上映会で観賞。2Kのリマスターはフィルム部分のみだけど当時の空気がダイレクトに伝わる温度感で良かった。

ラストのデュニエの言葉に「?」となりクレジット見てまた「?」となりimdb見てほぼ脚色なのに驚いた。てっきりビデオ撮影が事実でフィルム撮影が脚色かと思い込んで見ていた。これは劇的で安易な解決に頼らずデュニエ自身の属性に真摯に向き合って映画を作った結果観客を信じさせるほどの真実味が生まれたということで、ストイックなモノづくりが成しえた偉業。
異人種間の恋愛における見えない格差、映画におけるアフリカ系女性の搾取、同じアフリカ系からの反発など社会的なイシューに加え少々冗談がキツいタマラとの微妙な友人関係の変化まで(こちらも特に解決には至らない)大小様々な要素をこの一作に盛り込んでくるという、お手本のような長編初監督作品。

気になったのは2点。
まず数少ない本人キャストであるカミール・パーリアという人。かなり引っかかる発言をする人で調べたら包括的なフリをした排他的な人っぽいので出演させた意図はなんなのか気になった。本人が喋ったことをそのまま使った雰囲気だったけど。上映後のディスカッションでも「いかにも学者っぽい発言をする人」としかコメントされなくてよくわからず。「中産階級の白人フェミニズムは摂食障害」とか言っててあまりにも無茶苦茶なんで『主戦場』みたいに喋らせるだけ喋らせて恥かかせてるタイプの演出なのかと思った。

そして字幕の表記について。”lesbian”を「レズビアン」「ビアン」と訳し分けているようだったのでどういうニュアンスで分けているのか、ニュアンスの問題でなければどういう理由があったのか知りたかった。
ユウサク

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