PeggyMYG

アメリカの影のPeggyMYGのレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
3.9
ジョン・カサヴェテスの初監督作品。
シナリオ無しの即興演出、劇伴はジャズの即興演奏。ニューヨークマンハッタンの雰囲気満点。行ったことないけど。

ただ、荒削り過ぎて?観賞中何度か迷子になった。
肌の色が違う兄弟3人(兄、弟、妹)が話の中心なだけに、途中まで関係性がかなりわかりにくい。
友人や仕事関係の登場人物も、それぞれの素性が曖昧なまま進む。そこを明確にすることにあまりこだわりのないのがカサヴェテス・スタイル(?)。

明らかに黒人とわかる見た目の長兄、黒人の血を引きながら白人にも見える次兄と妹。白人社会のなかにあって、それぞれの立場で異なる悩みを抱えている。人種問題を扱いながら、決してステレオタイプな描き方はせず、それぞれの心情を丁寧にカメラに収める。その描き方ははとても繊細だ。

胸が痛い部分までも容赦なく見せるけれど、あとにじんわり残る兄弟愛。
これがカサヴェテス映画の始まりかと思うと感慨深い。
PeggyMYG

PeggyMYG