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アメリカの影のAlllyのレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
5.0
ニューヨーク、タイムズスクエアの夜。
渋すぎるチャールズ・ミンガスのジャズを背景に、売れないジャズシンガーの兄とトランペット奏者になりたい弟、大人でもなく少女でもない20歳の妹レリアの3人兄弟はまるで隅っこで生きているよう。

レリアが黒人の血を引いていることを知り、
初夜を共にした白人はレリアとその兄弟を前に動揺を隠せない。
そんな反応を彼らはいくつも見てきたんだろうけど、差別というものは物凄く堪えるんだろう。
日本人である私たちは苦手なタイプや生理的に受け付けない人はいるものの、
人種差別の無い国に生きているからこの気持ちに共感はできないものの、
受け入れられないという事は日々起こるものだからなんだか傷つく。でも仕方の無いこと、でもあるよね。
(はっきりと、あなた苦手!とは言われないけど、反応でわかることってある。だってそれは隠せないもの。)

しかし、そんな事でクヨクヨしてダメになる人を描く監督じゃない。
”女は返事をしてればいい”なんてクソダサい事をいう男に対してレリアは
”私は私よ”と胸を張って返す。
(それでも彼女はセンシティブなんだけど。で、またそれがいい。)

”こんな扱いもうたくさんだ!”と仕事を放棄しかけた相方にヒューは
”他人なんかほっとけ!”と言う。

傷つきながらも兄弟は今宵もイキイキと生きていく。
この街で生きていく為に、兄弟たちの愛は尽きてしまってはいけない。
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